アルビレディースの成長~タイトルを本気で目指した2023-2024シーズン
サッカー女子プロリーグWEリーグ2023-2024シーズンが閉幕しました。今シーズン、アルビレックス新潟レディースは、WEリーグカップを準優勝し、リーグ戦は4位という成績を収めました。
アルビレディースは、WEリーグが発足した初年度から参戦していますが、1年目は8位、2年目は10位、そして3年目の今シーズンは4位へと躍進しました。
監督、選手、スタッフ、サポーターの一体感が飛躍の原動力に
リーグ戦において過去最高の成績となった今シーズン、アルビレディースは「新潟にタイトルを」という目標に向かってチーム一丸となって戦って来ました。選手個々の能力やチームの戦術、選手層の厚さ、コンディショニングなど様々な要因があると思いますが、今シーズンのアルビレディースはこれまで以上にチームが団結してまとまっているように感じました。
今シーズンから指揮を執る橋川監督は就任されて最初のミーティングで、「本気でトップ3を目指す」と、目標を明確に示し、選手もそれに共感したそうです。期中には目標を「新潟にタイトルを」へ格上げし、選手全員がその目標を達成するために本気で取り組む雰囲気が作られたそうです。組織の一人ひとりが目標にコミットし、ベクトルを合わせることが出来たということなのでしょう。
また、サポーターの皆さんからもたくさんの募金をいただき、アルビレディース専用のクラブハウスが新設されましたが、それも一体感の醸成に一役買ったのかもしれません。ロッカールームやケアルーム、事務所などが一つの建物に集約され、選手同士はもちろん、スタッフ、フロントも日常的に顔を合わせてコミュニケーションを取ることが出来る場ができました。互いに日々の努力を目にしてリスペクトし、そして声を掛け合ったりする環境が生まれたことはクラブの一体感を高める効果を生み出したのではないでしょうか。
選手一人ひとりがそれぞれチームの中で重要な存在であることは間違いないことと思いますが、川澄奈穂美選手の加入は大きかったと思います。川澄選手は、ワールドカップ優勝や、海外のクラブでも第一線で活躍してきた経験を持ち、ピッチ外でも現役選手でありながら日本サッカー協会の理事をも務める、言わずと知れた一流選手です。そうした選手の加入がチームに大きな刺激を与えたようにも映りました。対外的にもチームがタイトルを目指すことを率先して発信し、サポーターの皆さんや地域の皆さんを巻き込み、スタジアム全体で本気でトップを目指す空気が作られていきました。ホームをはじめアウェー会場にも足を運び大きな声援を送ってくれるサポーターの皆さんの存在が選手に大きな力を与えてくれたことでしょう。
クラブスローガンは“enjoy football !”
アルビレディースは、アルビレックス新潟のレディースチームとして、2002年にチームが創設されました。その後、各リーグに参戦し、昇格を果たすなどの変遷を経て、2019年に(株)アルビレックス新潟からレディース事業会社として独立分社化し、(株)アルビレックス新潟レディースが設立されました。そして、WEリーグ発足となる2021年からWEリーグに参戦しています。
アルビレディースは、『enjoy football !』というクラブスローガンを掲げています。このクラブスローガンには、「すべての方々にクラブづくりに参加いただき、喜びと感動を共有したい」という想いが込められているそうです。アルビレディースが活躍することで、老若男女、障がいの有無、地域性にかかわらず、女子サッカーの裾野を広げることを目指しています。
アルビレディースは地域貢献、地域交流を精力的に行っています。今シーズンも若手、ベテラン問わず、選手が施設や学校、企業の訪問を行っているそうです。これらの活動はすぐに何かの成果につながるものではないかもしれませんが、「すべての方々にクラブづくりに参加いただき、喜びと感動を共有したい」というクラブスローガンに込められた想いの実現に向けて、非常に大切な活動だと思いますし、一つまた一つと実を結んで欲しいと私も切に願っています。
新潟医療福祉大学や新潟リハビリテーション病院との連携によって生まれるシナジー
以前このコラムでも紹介しましたが、アルビレディースは、NSGグループの新潟医療福祉大学や新潟リハビリテーション病院と様々な連携をしています。
新潟医療福祉大学と新潟リハビリテーション病院が連携して、「女性アスリート検診」の実施によるアルビレディースの選手のパフォーマンス向上のサポートをしていることはその一例です。
また、新潟医療福祉大学は、女子サッカー部からアルビレディースへの選手の輩出という面でも協力関係にあります。トレーニングマッチなどは日常的に行われ、一部の学生は在学中からアルビレディースの選手として活動しています。プロの空気を肌で感じたり、試合に出場したりして、女子サッカーのプロ選手の育成が行われています。また、大学に在籍している間にスポーツ医科学や指導者を目指す上で必要な知識を専門的に学ぶ事ができることは、選手のセカンドキャリアの面でも大きなサポートになっています。
来期こそは「新潟にタイトルを」
今シーズンのWEリーグは幕を閉じ、残念ながらタイトル獲得やトップ3に入ることはできませんでしたが、大きな成長を遂げた1年であったことは間違いないと思います。クラブも人も、目標を明確に定めて、それに向かって努力する過程で成長するものだと思います。目標を達成するための計画を立て、それを実践に移しても、思い描いていた通りに行く事は稀で、乗り越えなければいけない課題や壁にぶつかり、それを乗り越えていくところに成長があります。アルビレディースは今シーズン、本気でタイトルを獲得しようと取り組んだからこそ見える課題もあったと思います。今シーズン足りなかった部分を振り返り、良かった部分にさらに磨きをかけて、来シーズンの更なる成長を目指して欲しいと思います。そして、来シーズンこそは新潟にタイトルをもたらし、地域をより一層盛り上げていただきたいと思います。NSGグループは引き続きこれからもアルビレックス新潟レディースを応援してまいります。 〆