サトウ食品新潟アルビレックスランニングクラブの挑戦
6/27(木)から6/30(日)にかけて、パリオリンピック最終選考会となる第108回日本陸上競技選手権大会(日本選手権)がデンカビッグスワンスタジアムで開催されます。文字通り各種目の日本チャンピオンを決める大会で、サトウ食品新潟アルビレックスランニングクラブからも、複数の選手が出場し上位入賞が期待されています。
この大会は、今年の夏に開催されるパリ五輪の代表選考会も兼ね、 サトウ食品新潟アルビレックスランニングクラブでは、男子走高跳の長谷川直人選手(新潟医療福祉大学卒)が世界ランキングにおいてオリンピック出場を狙える位置にあり、この大会でオリンピック出場権獲得を狙います。また、他の選手にとっても来年東京で開催される世界選手権や今後の国際大会出場を目指す上で重要な大会です。
今回は、 サトウ食品新潟アルビレックスランニングクラブについて紹介したいと思います。
日本唯一の地域密着型の陸上クラブ運営会社
2005年、陸上競技による新潟の活性化や、陸上競技の普及、地域の健康増進に寄与する事を目的に新潟アルビレックスランニングクラブが設立され、同時に日本で初の陸上クラブの運営会社として同じ名称の(株)新潟アルビレックスランニングクラブが設立されました。そして、2024年4月シーズンからサトウ食品株式会社様がネーミングライツパートナーとなり、新クラブ名「サトウ食品新潟アルビレックスランニングクラブ」(以下「アルビRC」)として再スタートを切りました。
国内の陸上競技トップアスリートの多くは、大企業が陸上部を所有する、実業団スタイルが主流で競技活動を行うのが一般的です。しかし、アルビRCに所属する選手たちは、県民と地域の数多くの企業が支える運営方式のクラブで活動しています。日本で唯一の地域密着型運営スタイルを持つクラブです。
地域で支えるという面はサッカーなど他のアルビレックスと共通していますが、陸上競技は定期的に興行が行われプロ選手のプレーを観戦して楽しむJリーグやプロ野球などの観戦型のスポーツとは違い、参加型クラブ運営のモデルとして地域の市民マラソン大会運営や子どものスポーツ普及活動をメインにしています。アルビレックス各チームの運営はそれぞれ別な会社で独立して運営しておりますが、アルビRCは他のアルビレックスと異なるビジネスモデルを構築してきました。
地域のあったら、いいね。を創造する。
アルビRCが行っている事業をいくつかご紹介いたしますと、まずは、オリンピックや世界選手権などの日本代表入りを目指すトップアスリートの育成、強化を行っています。400mハードル女子で3大会連続オリンピックに出場し、現在も日本記録を保持する久保倉里美選手(現在はアルビRCのヘッドコーチを務める)をはじめ、日本のトップクラス、世界レベルの大会に出場する選手を多数輩出しています。
また、小中学生対象のスクール事業を行ったり、市民向けの運動教室を開いたり、陸上・ランニング関係のイベントの実施、大規模大会の運営協力、マーケティング支援など幅広い事業を行っています。
アルビRCが運営に関わっている大規模イベントを挙げると、例えば1万人以上が参加する新潟シティマラソン(新潟市主催)や新潟ハーフマラソン〔(一財)新潟陸上競技協会主催〕を受託し運営しています。日本グランプリシリーズYogibo Athletics Challenge Cupについては、(一財)新潟陸上競技協会と共に主催者として運営に携わっています。
地域に根差した活動として、主旨に賛同いただいた企業にイベントスポンサーになってもらい、新潟県内の小学校で走り方や陸上の指導教室を無料で提供しています。その数は例年30校から40校にも及びます。
コロナ禍で社会全体の動きが止まり、スポーツ大会などが全く行われなくなった時期には、「テレサ」という体温記録アプリを開発しました。このアプリは、全国の陸上競技大会をはじめ、ゴルフやテニス、さらにスポーツ以外のイベントでも利用され、コロナ禍における社会活動や人々の生活を支えてきました。
NSGグループと連携したオンリー1の育成強化システム
アルビRCは選手育成についても、オンリー1の強化システムを構築しています。特徴の一つに大学、専門学校、高校のカテゴリーと直接的な連携システムがあります。NSGグループの新潟医療福祉大学、新潟食料農業大学、アップルスポーツカレッジ、開志国際高校との協力体制です。アルビRCを中心に強化育成に関する方向性を共有しながら、コーチ・スタッフの派遣、スタッフの育成、選手のリクルーティングのサポート、施設のコンサルティング、進学・就職のサポートなど多岐に渡る連携を行っています。
小学生と中学生のカテゴリーについては、アルビRCのジュニアスクールでトレーニングプログラムを提供しています。
そして、アルビRCがトップアスリートの受け入れ先となって、ジュニアからトップ層までの一貫指導体制となっています。
試行錯誤の中で様々な事業を確立
(株) 新潟アルビレックスランニングクラブは2005年4月に設立され、現在20年目を迎えました。ベンチャー企業の創業20年後の生存率は0.3%とも言われる中、日本の陸上界に新しい風を吹き込み、陸上クラブの運営という全く新しい事業に挑戦してきました。試行錯誤を繰り返し、いくつもの壁を乗り越え、20年間で様々な事業の柱を確立し、企業として安定した運営が行われるようになりました。
アルビRCは既に幅広い事業活動に取り組んでいますが、参加型という特徴を持ち、前例のない陸上というスポーツにおいて、アルビRCが果たせる役割はまだたくさんあると思います。そして、それを通して新潟のまちづくりや地域活性化に貢献するとともに、企業としても成長できる可能性は無限に広がっていると思います。これからもアルビRCの活動を応援していきたいと思います。 〆