旧割烹有明が有形文化財として登録されます~古町花街の活性化~

新潟市の中心部古町にある古町愛宕神社と古町神明宮という2つの神社を、私の家で代々おまもりしているという話を以前書いたことがありますが、その古町愛宕神社が所有する旧割烹有明(新潟市中央区古町通9番町)の建物を、国の登録有形文化財(建造物)に登録する答申がされ、今年の秋ごろに登録される見込みとなりました。

花街として栄えた古町の建物の特徴を表す旧割烹有明

割烹有明は明治後半に創業された料亭で、歴史ある建物が並び風情ある花街の一角にあります。今回登録されることになった建物は、明治時代後期に建てられた表棟、大正時代後期に建てられた中棟、昭和時代初期に建てられた奥棟の3棟で構成され、3棟それぞれが登録されることとなりました。
旧割烹有明の建物は上質な料亭建築で、保存状態も良く、当時の外観や内部の意匠など建築当初のまま残っています。それらは花街として栄えた古町の建物の特徴をよく表しており、登録基準の一つ、「造形の規範となっているもの」という項目に該当すると評価いただきました。
明治に建てられた表棟は、古町花街の茶屋や料亭建築の中でも最古級の部類に入るそうです。また、明治後半から、大正、昭和と増築されて現在の姿となりましたが、その過程を辿ることができることも歴史的価値を高めているとのことです。

表棟 大広間
中棟 十壱番の間
奥棟 障⼦⼾・鶴

花街の歴史の一部として残していかなければならない貴重な建物

旧割烹有明のこの建物は、明治43年に建てられてから2016年に廃業するまで、花街の歴史の一部として在り続けました。取り壊したりせず、大切に残していかなければならない貴重な建物でありますが、ご縁があって2020年より愛宕神社が受け継ぐことになりました。
現在は、柳都振興株式会社と新潟三業協同組合が入居し、事務所として利用するほか、古町芸妓の控室や支度部屋、芸事のお稽古場として利用されています。時折、総合学習の時間に小学生、中学生が芸妓文化について勉強をしに来ることもあるそうです。
また、ホテルイタリア軒は、今年創業150周年を迎え、創業当初から古町芸妓とは深く関わってきました。古町活性化のための連携をしたいと入居し、修学旅行生や古町街歩きの見学場所として利用しています。現在イタリア軒の割烹螢で芸妓鑑賞と食事のプランを行っていますが、今後は、それに加え旧有明も活用していければと思いますし、インバウンド需要の取り込みを含め、幅広い皆様に利用いただけるよう検討していきたいと思います。

玄関
廊下①
廊下②

古町花街や芸妓文化は新潟の貴重な財産

旧割烹有明のある古町花街は、全国でも数少なくなった現役の花街です。第2次世界大戦の空襲による被害も免れ、すでに登録有形文化財に登録されている鍋茶屋さんや瓢亭さんをはじめ、他にも歴史ある建築物が数多く残り、情緒ある街並みが風情を感じさせてくれるエリアです。この古町花街一帯や芸妓文化は、大切に後世に残していくべき価値のある文化財であるとともに、街づくりやインバウンドも含めた観光資源の核として新潟の貴重な財産です。地域の皆様と一緒に、古町のますますの活性化に取り組んでまいりたいと思います。また、旧割烹有明の建物の活用が、このエリアの活性化の一助になれるようであれば幸いです。        〆