150周年を迎えたホテルイタリア軒 ~伝統と挑戦~


ホテルイタリア軒は、おかげさまで今年創業150周年を迎えることができました。10月18日には、150周年を記念する式典を開催する運びとなっております。長年に渡り支えてくださったお客様、取引先の皆様、そして地域の皆様に、心より感謝申し上げます。
NSGグループが2014年にホテルイタリア軒の事業を継承してから、早くも10年が経過いたしました。新潟の歴史と共に歩んできたイタリア軒を、地域にとって大切な財産と捉え、150年に渡り受け継がれてきた伝統を守りながらも、さらなる発展を目指して努力を重ねてまいりました。

150年の歴史と現在に至るまでの軌跡

株式会社イタリア軒は、1874年、イタリア人コックのピエトロ・ミオラ氏によって創業され、新潟初の本格的な西洋料理店「イタリア軒」として歴史が始まりました。当時、新潟は明治のはじめに外国との貿易や交流を許可された開港五港の一つとして栄え、西洋文化が急速に広まっていた時期でした。イタリア軒は新潟の中心地である古町で開業し、西洋料理を地域の皆様に「ご馳走」として提供し、たくさんの皆さまからご愛顧いただいていました。
2024年秋、創業者ミオラを主人公にした『小説・イタリア軒物語』が刊行されました。この歴史小説は、当時の資料を基に執筆され、明治時代の新潟に魅了されたイタリア人が西洋料理店を創業する物語です。
イタリア軒は、政財界の社交の場としても重要な役割を果たしてきました。その存在はかつて「鹿鳴館の再来」と称されるほどだったそうです。しかし、その長い歴史の中で幾度もの変革の瞬間がありました。2度の火災に見舞われながらも、その都度、地域の皆様のご支援により、イタリア軒は存続し続けてまいりました。1976年には4代目の建物となるイタリア軒が落成し、ホテル事業にも本格的に参入しました。客室や宴会場、新潟市内を一望できるスカイバンケットを備え、結婚式やビジネス会議など、多様なニーズに応えるホテルへと発展しました。
現在、イタリア軒は西洋料理、中国料理、日本料理、寿司の4つのレストランがあり、伝統の味を守りながらも、地元新潟の食材を活かしたメニューを提供しています。

伝統の食と文化を伝える発信基地

イタリア軒は「伝統と革新」を重んじ、創業から150年間にわたり、ミートソースやデミグラスソースなどの味を守り続けてまいりました。歴代のシェフがレシピを代々受け継ぎ、今もなお多くのお客様にご愛顧いただいております。この伝統の味は、単に受け継いでいるだけではありません。伝統を大切にしながらも現代的なアプローチを取り入れ、また人々の嗜好の変化を柔軟に取り入れるなど、時間の流れと共に変革し続けています。
また、イタリア軒は、地域文化の発信においても重要な役割を果たしてきました。特に新潟の芸妓文化と深い繋がりがあり、旧館のロビーには古町芸妓の写真が飾られていました。現在も別館の割烹「螢」では、新潟の旬の食材を使用したお料理に地酒、そして、古町芸妓による特別なひとときをお楽しみいただけます。長唄、三味線、鳴物、芸妓の舞、お座敷遊びなど、新潟の芸妓文化を体験できることもホテルイタリア軒の特長の一つだと思います。
これからも、地元新潟の食材を活かしたメニューの提供や、地域との調和を大切にし、伝統の食と文化を発信するホテルとして成長していきたいと考えています。

「特別な時間」を提供するホテルであり続ける

2023年には全客室の改装を行い、さらに快適で洗練された空間を提供できるようになりました。エグゼクティブタイプの客室やスイートルームなど、細部にまでこだわりぬいた客室では、特別な滞在を演出するための工夫が随所に施されています。
ミオラは、来店する一人ひとりに敬愛の念を抱き、接し、何より、安心してお越しいただけることを大切にしていたそうです。このような姿勢は、「ホスピタリティ」とも言い換えることができると思います。また、「すべてのお客さまに心からのサービスを」というおもてなしの精神は、イタリア軒の従業員に現在もしっかりと受け継がれています。これからも細やかなおもてなしに裏打ちされたラグジュアリーな時間をお客様に提供し続けるため、この精神を引き続き守りつづけてまいりたいと思います。
イタリア軒は、長年にわたり結婚式をはじめとした人生の節目や記念日、慶事、ご法要などの際にご利用いただいています。このことを通じて、地域の皆様の人生と共に歩んできたホテルであることを改めて実感しています。

イタリア軒はこれまで、新潟の食と文化の発信基地として、また社交の場として、旅行で訪れる皆さまや地域の皆様に特別な時間を提供出来るよう研鑽を重ねてまいりました。
このような役割を果し歴史を刻んできたホテルイタリア軒は、守るべき新潟の大切な財産であると確信しています。次の200周年、さらに250周年に向けて、お客様にとってかけがえのない特別な時間をお過ごしいただける場を目指し、より一層のサービス向上に努めてまいります。今後も変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。    〆