女性起業家が一歩を踏み出せる環境を–おしごとステップアカデミー始動

新潟県長岡市にあるスタートアップ支援拠点「CLIP長岡」は、起業や副業を目指す女性が抱えやすい不安や課題の解決を目指し、これまで継続してきた交流・実践の場を土台に、2025年12月、オンライン学習コミュニティ「おしごとステップアカデミー」を立ち上げました。
CLIP長岡がこの取り組みを始めた背景には、日本国内において女性の起業が決して多いとは言えない現状があります。世界の起業に関する調査では、日本の女性は「起業に必要な知識・能力・経験がある」と感じる割合が低い傾向が示されています。ただ、それは個人の問題というより、身近にロールモデルや相談相手が少なく、起業に必要な情報やネットワークの入口が見えにくい状況が積み重なった結果ではないでしょうか。実際、経済産業省が取りまとめた「女性起業家支援パッケージ」でも、「起業家ネットワークへのアクセスが限定的」「起業に関する相談相手が不在、情報入手先も分からない」といった課題が指摘されています。
加えて、新潟県内には地域特有の環境もあります。起業や副業を考え始めた段階で、相談できる相手や同じ立場の仲間に出会う機会が限られがちです。特に女性にとっては、身近に起業を選ぶ人が男性よりも少ないことが心理的なハードルになりやすいとも言えます。

疑問や不安を相談し、行動に変える

こうした背景のもと、CLIP長岡が立ち上げた「おしごとステップアカデミー」は、「疑問や不安を相談できる場」と「行動に変える時間」を最初からセットしたコミュニティです。概念論ではなく、具体的な行動まで落とし込む支援体制が特徴です。
CLIP長岡では、起業を志したばかりの段階においては、「自分にもできるかもしれない」という感覚を育てることを重視し、先行して“顔の見える場”をつくり、手応えを積み重ねてきました。
2024年11月からは「お茶会」を継続開催し、同じ方向を向く仲間や先輩起業家とお互いの顔を見ながら話せる場を設けています。さらに2025年11月から開始した「もくもく作業会」では、SNS用動画の撮影や投稿内容の相談、チラシ作成や事務作業などを持ち寄り、学びを実践に変える時間を共有しています。LINEのオープンチャットも70名を超え、相談や情報共有が日常的に行われています。
身近に相談相手がいないことから、一人で悩みを抱え込んでしまう女性起業家も少なくありません。同じ立場の仲間で構成されたコミュニティが、そうした悩みを受け止め、互いに応援し合える関係を育んでいます。

子育てや介護など多様な生活スタイルの方が参加しやすいように、動画講座は1本5~15分程度と、取り組みやすい形式を整えています。

多様な挑戦が息づく地域を目指して

各種の公的調査において、女性の新規開業はサービス業の割合が高く、地域に根ざした事業が多いことが示されています。女性が起業への一歩を踏み出すことは、雇用や所得といった経済面にとどまらず、生活関連サービスの充実や地域課題の解決にもつながる可能性があります。
だからこそ、地域で起業を志す人を支える支援拠点の役割は、ますます重要になっています。
CLIP長岡は、NSGグループの一般社団法人新潟県起業支援センターが運営するスタートアップ支援拠点です。これまでに3,000件を超える起業相談に対応し、300件以上の事業立ち上げをサポートしてきました。起業相談や起業スクールの開催に加え、事業計画や資金調達のアドバイス、バーチャルオフィスの提供など、“相談から実装まで”を一気通貫で支える体制を整えています。特に、起業経験を持つ担当者による実践的なアドバイスが強みです。
また、長岡市にとどまらず、魚沼市、小千谷市、見附市など新潟県内各地で起業相談会や起業スクールを開催し、地域に根ざした支援を継続しています。近年増えつつあるシニア層の起業にも着目し、50代以上を対象とした取り組みも始めています。

女性やシニア世代に限らず、多様な属性・世代の方が自分らしい働き方を選択できる環境づくりが重要です。誰かが起業に挑戦し、いきいきと働く姿が見えると、「自分もやってみようかな」と背中を押される人が出てくる。挑戦が次の挑戦を呼ぶ。そんな連鎖が地域に根づけば理想的です。
その芽が育っていくよう、相談できる相手や仲間に出会える場、学びを行動に変える機会が増えるよう、相談と実践の場づくりに取り組んでまいります。    〆