人と作品が行き交う街へ――新潟国際アニメーション映画祭から生まれる循環

新潟国際アニメーション映画祭(以下「NIAFF」)が2月20日(金)から25日(水)まで開催されます。
NIAFFは、アニメーション映画を「観る」だけで終わらせず、評価し、語り合い、次の制作や挑戦へつなげる場として、文化と産業の双方を結びつけることを目的に立ち上げられました。
その舞台となる新潟は、長年にわたりマンガ・アニメを文化政策の柱とし、全国に先駆けてマンガ・アニメの振興に取り組んできた都市です。JAM日本アニメ・マンガ専門学校や開志専門職大学アニメ・マンガ学部など、人材育成を担う教育機関がその学びを支え、日本のアニメーションの原点に連なる大川博氏、蕗谷虹児氏を輩出してきた歴史的背景もあります。
アニメーション映画は国内外で大きな支持を得る一方、評価が興行収入や話題性に偏りやすいという課題も抱えています。作品を一過性の消費で終わらせるのではなく、評価や批評を通じて価値を言語化し、次の創作へとつなげていく視点が欠かせません。こうした“場”を整えることは、コンテンツ産業や文化の持続性を考える上で大切なことだと感じています。
そしてNIAFFは、映画関係者だけではなく、一般の方々もアニメーションを楽しめる「パブリックな映画祭」を目指しています。アニメーションを文化として分かち合い、世代や関心の垣根を越えて開かれた場にすることも、NIAFFが大切にしている理念の一つです。
NIAFFは、こうした背景のもとで立ち上げられ、2023年より毎年開催され、今年で第4回目を迎えます。

作品だけでなく、次のステップを生む“場”として

これまでの3年間で、NIAFFは着実に広がりを見せています。応募作品数は第1回が15か国・長編21作品でしたが、第4回では59か国から長編・中編合わせて274作品が寄せられました。関連イベントを含む総動員数も、第1回の13,110人から、第3回には30,544人へと増加しています。
映画祭には、映画配給会社や制作会社、プロデューサーなど多くの映画関係者が来場します。NIAFFでの上映を契機に、国内配給や公開へと進んだ作品も生まれています。日本未配給作品を日本の観客と業界に提示し、次のステップへ橋渡しする役割を映画祭が果たしてきたことが映画祭を続ける上での大切な意義です。作品は、観られ、語られ、出会いが生まれて初めて次へつながります。その最初のきっかけが生まれる場所が映画祭です。

人材育成を軸にした国際的な交流拠点へ

第4回は新潟市が共催に加わり、地域連携の厚みが増しました。中編アニメーション部門(Indie Box)や新人賞が新設。長編アニメーションは制作のハードルが高く、中編というフォーマットで物語性のある作品に挑む作家も少なくありません。そこに光を当てることは、若い才能や作品の発掘を促し、育成の循環を強める上でも意義があります。
さらに、未来の芽を育てる取り組みとして「NIAFFジュニア・クレイアニメーション・ワークショップ2026」も実施されます。市内の小学4〜6年生を対象に、JAM日本アニメ・マンガ専門学校で粘土を用いたループアニメーションの制作に挑戦します。

(左:クレイアニメーションのイメージ画像 右:ワークショップの会場かつ講師が所属するJAM日本アニメ・マンガ専門学校)

今回とりわけ力を入れているのが、新潟アニメーションキャンプをはじめとした若手人材育成の取り組みです。アジア圏の若い監督・スタッフ・学生を対象に、映画祭での鑑賞体験や国際的な交流に加え、世界の第一線で活躍する監督や批評家によるマスタークラス(公開授業)を受講できる機会を提供しています。今回は、交流中心の「NIAFFネットワーキングコース」に加え、短期間で作品制作に取り組む「アニメーション制作ワークショップコース」を新設。オンラインと現地ワークショップを組み合わせ、開志専門職大学の設備も活用しながら短編アニメーションの制作に取り組みます。

(第3回新潟アニメーションキャンプの様子)

街全体で迎える“開かれた映画祭”

新潟駅構内や万代、古町の商店街にポスターやビジュアルが並び、街を歩くだけで映画祭の始まりが感じられます。多くの映画祭が映画館や上映会場の中で完結する中、日常の動線の中で映画祭の存在を感じられる点は、NIAFFならではです。商店街や企業、行政、教育機関が連携し、街全体で映画祭を迎え入れていることが、強みだと言えるでしょう。
配信で作品を鑑賞できる時代だからこそ、映画祭を通じて、地域の皆さん・学生・クリエイター・企業・行政機関が同じ場所で、同じ体験を共有することに意味があります。ワークショップなどの交流を通じて学びが生まれ、海外から新潟を訪れる監督や関係者との出会いにもつながります。新潟と世界を行き来する循環も、少しずつ形になってきました。
映画祭には会期があります。しかし、一過性の盛り上がりで終わるものではありません。繰り返し開催される中で、人と作品が行き交い、議論が深まり、学びが芽吹く。文化として、産業として新潟に根付き、地域が活性化していく。NIAFFはその核の一つであると思います。NSGグループも立ち上げ当初から、応援を続けてきました。第4回も、新しい才能の発掘と交流が重なっていくことを願っています。     〆