4年ぶりに通常開催された「明和義人祭」~今の時代に伝えたい明和義人の物語

8月26日(土)に、新潟市中央区の古町通1番町から6番町にかけて、「明和義人祭」が行われました。私の家で代々守っている古町愛宕神社の境内社の口之神社で祀っている「明和義人」を慰霊、顕彰するお祭りです。ちなみに、NSGグループの本部も愛宕神社境内にあり、そこで毎日執務をしています。コロナ禍で、ここ数年は実施を控えたり、行事を縮小したりしていましたが、社会全体がWITHコロナの生活に移行した事を受け、今年は4年ぶりに従来通りの内容で開催することができました。

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明和義人行列

自主自立の精神とエネルギーに溢れる明和義人の物語

18世紀の半ば江戸時代の明和年間に、新潟湊で藩からの重税で困窮する人々の暮らしを救おうと町民自ら立ち上がり、2カ月に渡り藩に代わって町政を実現した「明和騒動」という出来事がありました。その中心となった涌井藤四郎と岩船屋佐治兵衛は藩の裁きを受け打ち首となってしまいましたが、民を救い住民自治を実現した二人は「明和義人」として讃えられ、街の誇るべき歴史として古町芸妓の口伝により密かに伝えられてきたそうです。江戸時代が終わり明治17年になって、千葉の義民で口ノ宮神社の御祭神の佐倉惣五郎の御分霊を迎え明和義人のお二人を合祀し、口之神社でお祀りするようになりました。
パリ・コミューンより約1世紀前に新潟で起こった、自主自立の精神とエネルギーに溢れる明和義人の物語を今の時代に伝えていこうと、2008年に「明和義人祭」をはじめました。最初は神社のお祭りとして境内で神楽を奉納することから始まりましたが、2年後には上古町商店街の皆さんが参加する実行委員会でお祭りを運営するようになり、その後エリアを少しずつ拡げ、現在は古町1番町から6番町までの町内会や商店街振興組合の皆さまのご協力の下で行われています。

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江戸時代の生活や文化を感じさせる数々の催し物

明和義人の物語は、お祭り以外でも伝承されています。新潟市出身の作家火坂雅志さんの小説「新潟樽きぬた~明和義人口伝」が2011年に発刊され、翌2012年にはその小説を原作としたコミックが制作されました。今年も明和義人祭実行委員会から新潟島(新潟市中央区の信濃川と関屋分水と日本海で囲む地域を地元では「新潟島」と呼んでいます)の小学校にはコミックを、中学校には文庫本を寄贈しています。また、2007年には「明和義人」をテーマとしたミュージカルが上映され、今年7月には (株)創るつながるプロジェクト様により大衆演劇「明和義人伝」が上演されています。

今年の明和義人祭では、子ども遊びのコーナーや縁日・飲食屋台が設けられ、白山小学校の生徒さんによる「万代太鼓」の演奏、今年からお神輿も加わった江戸時代の町民文化を彷彿とさせる「明和義人行列」、伝統芸能「奉納神楽舞」、日本最大級と言われているお菓子を神菓に見立てて幸せのおすそ分けをする「明和神菓まき」、永島流「新潟樽きぬた」、当時の盆踊りを再現した「蜑の手振り」などの催し物が次々と行われました。

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左:子ども遊び/右:万代太鼓
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左:古町芸妓舞/右:奉納神楽舞
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左:明和神菓まき/右:新潟樽きぬた
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左:蜑の手振り/右:明和義人灯篭

明和義人祭は、口之神社で祀っている明和義人を慰霊することや、自らの手で未来を切り開いた明和義人の物語を、お祭りを通して知ってもらうという目的で行っていますが、お祭りを通して、地域の方々が参加することで人と人とのつながりが生まれ、参加した人々の間に一体感が生まれる機会にもなります。コロナ禍で一時中断した時もありますが、晩夏のイベントとして定着してきた明和義人祭を、これからも末永く続けていければと思います。              〆