環境負荷を考えた新潟医療福祉大学の取り組み~EVバスとZEBの新施設

NSGグループの新潟医療福祉大学は、この春、第12研究・実習棟(V棟)をZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)基準を満たす教育施設として竣工し、また、EVバスをスクールバスとして導入します。これら2つは、新潟県内の大学として初となる取り組みだそうです。
地域社会と共に歩む大学として、カーボンニュートラルに向けて取り組んでおりますが、今回は、EVバス、ZEB基準を満たす建物の導入についてご紹介したいと思います。

EVバス導入でCO2排出量を削減

新潟医療福祉大学は現在スクールバスを7台(大型バス4台、マイクロバス3台)所有しておりますが、入れ替え時期がきているその内の大型バス1台をEV(電気自動車)化する予定です。
以前の投稿(詳しくはこちら)で触れたことがありますが、2022年度の実績によると、日本では運輸部門がCO2排出量の約2割を占めています。そして、運輸部門のCO2排出量の過半数を占めている商用車の電動化は、その必要性が年々高まっています。新潟医療福祉大学のこの度のケースでは、スクールバスとしてEVバスを導入することにより、従来型のディーゼルバスと比べて約33%のCO2排出量の削減が見込まれています。また、学生が乗降中のアイドリング時の騒音や振動も軽減される効果もあります。さらに、EVバスは災害時に必要な場所に移動して、電力供給が可能な「蓄電池」としての機能も併せ持っています。
EVバスの導入は、環境負荷を軽減するだけではなく、経済的側面から考えてもメリットがあります。イニシャルコストは従来型のバスと比べてかかるものの、ランニングコストの燃料費が軽減されます。一定の期間を経て初期投資を回収できる見込みで、トータルコストとして経済合理性にも優れています。

ZEBの導入でエネルギー収支ゼロを目指す

新潟医療福祉大学は、健康栄養学科の定員増加に対応するため、新校舎の建設が必要でした。その建設に際して、環境負荷の低いZEBを採用しました。ZEBとは、“Net Zero Energy Building”の略語で、年間エネルギー収支をゼロにすることを目指した建物を指します。省エネルギー技術の導入により建物の一次エネルギー消費を抑え、太陽光発電などで再生可能エネルギーを創出(創エネルギー)することによって実質的なエネルギー収支をゼロにします。

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出典:環境省ホームページ (https://www.env.go.jp/earth/zeb/about/index.html

ZEBを実現するために、建物には断熱性能の高い設計や高効率な空調システム、熱交換型換気システムなどが採用されています。また、創エネルギーとして160kWの大規模太陽光発電システムを建物内に設置し、余剰電力をキャンパス内の他の建物へ再分配する仕組みを構築しています。災害時には、電力の供給元となることも可能な建物です。

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出典:環境省ホームページ (https://www.env.go.jp/earth/zeb/about/05.html

持続可能な未来へ向けて

カーボンニュートラルに向けたEVバス及びZEBの導入には、他のグループ法人も関わっています。総合商社の愛宕商事㈱は、カーボンニュートラル推進事業部を置いて、エネルギーや環境に関連するプロジェクトに取り組み、そのひとつとしてバスをはじめトラックなどのEV商用車の導入をコーディネートしています。また、建築設計事務所の㈱クレイズプランは、ZEB基準を満たす新校舎の設計を担いました。建築分野は、日本全体の約30%の一次エネルギーを消費しており、エネルギー消費量の削減が重要視されています。同社は、「ZEBプランナー」に認定されています。将来的には設計する建物の半数以上をZEB仕様にすることを目標としています。小売電気事業社の新電力新潟㈱は、脱炭素経営の支援にも力を入れています。新潟医療福祉大学全体でのエネルギー消費量の削減に向けたスキームに携わっています。
NSGグループの“NSG”は“New Sustainable Growth”、すなわち「新しい持続可能な成長」を意味しています。私たちは、経済成長だけでなく、地域社会の幸福と豊かさを実現する事業の創造や、地球全体の課題解決に資する事業の創造による成長を目指しています。NSGグループはこれからも、今回ご紹介した新潟医療福祉大学によるカーボンニュートラルに向けた取り組みをはじめとして、持続可能な未来の実現に寄与するべく努力してまいりたいと思います。    〆