【コラム第8回】アルビレックス新潟Lとなでしこジャパンの中越地震復興支援試合

 サッカー日本女子代表、通称なでしこジャパンとLリーグ2部(L2)のアルビレックス新潟レディースによるチャリティー試合が、8月26日に新潟スタジアムにて行われました。残念ながら、アルビレックス新潟レディースが0-9で惨敗しましたが、この試合は3つの大きな成果を収めたと思います。

 その1つは、中越地震復興支援です。被災から10ヶ月、被災地では、今だ仮設住宅で過ごすことを余儀なくされている方々もいるなど大変な苦労が続いています。今回、昨年12月の「新潟県中越地震復興支援チャリティーマッチ ジーコジャパンドリームチームvsアルビレックス新潟」に引き続き、そのような被災地をサッカー界全体で継続的に支援することが大きな意義の1つでした。被災地域のサッカーチームや子どもたちを招待し、日本のトップ選手の個人技や地元チームの奮闘を楽しんでもらうこともできました。被災地域の方々に少しでも希望や勇気を抱いていただけたのではと感じています。
 また、復興を目指し元気に頑張る新潟をアピールし、さらに復興を活性化させることにも大きく役立ったと思います。

 2つ目は、新潟市出身の歌手、小林幸子さんが特別出演して下さり応援して下さったということです。小林さんは、新潟の地を離れても強く故郷を思っていて下さる方の一人です。ご存知のとおり、新潟、いえ、日本を代表する演歌歌手でいらっしゃいますが、小さい時に才能を認められて以来、新潟を離れ、ご苦労をされて今の成功を収められました。その小林さんが、故郷である新潟のために力になりたいということで協力を申し出て下さいました。
 昨年、新潟市が市町村合併事業の1つとして全国に新潟のイメージをアピールする新しい歌を作ったのですが、その歌は、作詞たかたかしさん(新潟県新発田市出身)、作曲遠藤実さん(新潟県内に居住経験)、歌小林幸子さんと、新潟にゆかりのある顔ぶれで作られました。今回試合に先立ちグラウンド中央で歌われたのがその歌、「越後絶唱」でした。
 小林さんはハーフタイムにはアルビレックスチアリーダーズと共にユニホーム姿でトラックを1周し、2万人を超える観客に手を振ってくれました。会場も、「幸子」コールがおこり大いに盛りあがりました。
 このように故郷を思う方の熱い思いが試合を通じて伝わったということに、大きな意義を感じます。

 そして、3つ目は、女子サッカーの普及とレベル向上の一助になったということです。アルビレックス新潟の姉妹チームであるアルビレックス新潟レディースは、女子サッカーのLリーグ2部に参戦して2年目、少しずつ知名度も上がってきました。今回、なでしこジャパンに胸を借り目標のL1昇格へ向けた課題を見つけることができたと思います。
 また、現在サッカーをやっていらっしゃる女性の方々にとって日本のトップレベルの技を間近で観るということは大きな学びの機会であったのではと思います。
 そしてなにより、この試合は、女性の方々が今まで以上にサッカーを身近に感じ、より興味を持てる絶好の機会となりました。

 女子サッカーは、新潟をサッカー王国にしていくための底辺拡大にとても必要です。参戦を決める際、新潟県内に女子サッカーがあまり普及していなかったのでぜひ女子のほうも普及したいということはもちろんでしたが、いずれ母親になって子育てをする女性の方々に身近なサッカーの場を作りたいという気持ちが強くありました。サッカーの観戦やプレイの経験のある女性は、サッカーに対する理解や感心が深いので、ご自身のお子さんがサッカーを始めたときに非常に良い環境作りができ、才能を伸ばしてあげることができるのです。将来的にみても、女子サッカーの普及やレベルアップは、新潟のサッカー全体のレベルアップに影響するということです。

 今回の試合、いろいろな思いを持って私も会場で観戦をしましたが、本当に有意義な試合だったと思います。今回、会場で集められた募金と小林幸子さんのCDの売上げの一部は、被災地へおくられることになっています。

池田 弘