“長寿企業の知恵”を互いに学びあう「新潟燈火会」【コラム173】

日本には長寿企業がたくさんありますが、創業100年を超える企業は約30,000社、200年企業は約3,000社、1,000年企業は11社あり、どれも世界の半数以上を日本が占めているそうです。新潟県はというと、1,000社を超える100年企業が存在し、全国第4位の長寿企業数を誇り、地方においては全国で一番長寿企業が多い県です。

その新潟県の長寿企業の経営者が集い交流する「新潟燈火会(にいがたともしびかい)」が昨年12月に発足しました。新潟燈火会は、幾代にも渡り連綿と匠の技、伝統の味、お客様・地域との信用というのれんを繋いできた“長寿企業の知恵”を発掘して学び、互いに研鑽し合いながらイノベーションを起こすことで、参加企業が発展し、そして地域の人々の幸せに繋げていくことを目的とした会です。参加資格は県内に事業所を置く創業100年以上の企業が正会員で、75年以上で100年未満の企業が準会員、趣旨に賛同する個人も個人会員として入会できます。寺子屋と称する長寿企業の知恵を学ぶ勉強会や親睦を図るための交流会を開催しており、9月には第3回寺子屋の開催を予定しています。

こうした会を設立するに至ったきっかけは、2017年12月に㈱チエノワが運営する「地方創生経営者フォーラム『伝燈と志命』」が新潟で開催されたことでした。㈱チエノワは長寿企業の知恵やそのものがたりを発掘し、次の世代・時代へ遺していくことに取り組んでいる企業です。フォーラムは創業100年を超える県内外の3社によるパネルディスカッションが行われ、私もコメンテーターをさせていただきました。150名以上が参加する2時間に及ぶフォーラムでしたが、パネリストの語る企業を継続させる秘訣に真剣に聞き入る参加者の様子が大変印象的でした。新潟県の長寿企業の代表者6名が代表世話人になり新潟燈火会の活動を開始したのは、ちょうどその1年後の事でした。私も1,000年以上の歴史を持つ船江大神宮の立場で代表世話人の一人を務めさせていただいています。

私は、新潟市の古町通りにある古町神明宮・船江大神宮(合祀)と古町愛宕神社の宮司を務めています。船江大神宮は927年に編纂された延喜式神名帳にも記載されている式内社で、平安時代中期以前に創建されました。私はその代々続く神社の後継者として生まれ、神社を護らなければいけない立場にありました。神社のある古町通りは以前大きな繁華街でしたが、時代と共にシャッターを閉じる店が増え活気が失われていきました。時代の変化の中で、人々の幸せや地域発展に寄与するという神社の使命を果たそうと考え、境内の一角に教育事業を立ち上げました。いわゆる第二創業を行ったという事になります。神社やお寺は昔から寺子屋として地域の教育機関の機能もあり、教育事業は神社で始める事業としては親和性が非常に高いものでした。それがスタートとなり現在のNSGグループに至りますが、常に「神社を護っていく」という意識は欠かしたことがありません。
また、NSGグループでは、今代司酒造や峰村商店(味噌蔵)など100年以上の歴史を誇る4つの長寿企業の事業を継承しました。時代の大きな変化や社会の変化に対応できず、一時は継続が難しい状況に陥っていた企業にイノベーションを起こすことで再生に取り組んできました。創業家から経営を引き継ぐ中で、長い歴史を紡いだ先人たちから受け継がれてきた想いや、その会社にしかないストーリーに触れ、改めて長寿企業は地域の財産との考えが強くなり、それと共に長寿企業の持つ事業継続の秘訣という点への関心が高まりました。

また、日本ニュービジネス協議会の会長として全国を巡っていると、地方の中核企業は長寿企業が多いと感じます。地方創生を行う上では、地域に根を下ろし、地域と共に発展してきた長寿企業の知恵や協力は大切であると考えます。
企業を継続させていくことには大変な苦労があると長寿企業の経営者の皆さんはお話しされますが、その知恵を発掘し、互いに学び合い、その知恵を地域の未来を担う経営者に伝承することは素晴らしい活動であると思います。そうした取り組みを新潟燈火会で始めることができたことは大変意義深いことでありますし、今後もますます発展させ、日本全国、世界に発信していきたいと思います。            〆