地産地消で持続可能な地域づくりを【コラム186】

先回のこのコラムで、私が実践しようと心掛けている事の一つ“Stay local, Look global“を紹介いたしました。地方都市にあって、世界を見据え、世界を相手にしたビジネス展開を、という意味です。コロナ禍の時代において、都市における密を避け、地方移住を希望する人々を地域で受け入れるためには、活き活きとやりがいをもって働くことが出来る職場を創造しなければなりません。産業を活性化させるためには“Stay local, Look global”という視点で新しい事業を考える企業が地域に増えなければなりません。また一方で、それだけではなく“地産地消”という視点も重要であるとも文末に書きました。今回は“地産地消”と”地域の持続可能性”について日頃考えている事を書きたいと思います。

世界を相手にしたビジネス展開を目指すことが重要だと説きながら、地産地消も重要だと説くと矛盾していると思われるかもしれません。しかしながら、持続可能性という視点で考えた際、海外との関係という外部環境を不変なものと考えることにはリスクがあるということです。ようやく安定的に入手できるようになってきましたが、新型コロナウイルスが世界的に広がった今年の春、マスクや医療資材が不足する事態が起きました。国内の需要のほとんどは海外からの輸入製品によって賄われており、世界的に需要が急激に上昇したことによる影響を受けました。また、感染拡大を防止する観点から、世界中の国々が事実上国家間の往来を禁止する措置を行い、海外からの観光客が日本から消えました。NSGグループの教育機関には大勢の外国人留学生が学んでいますが、ちょうど新年度の始まる時期に入国制限が行われ、新入生や一時帰国していた学生が日本に入国できないという事態に見舞われました。留学生に関しては、少し前の話になりますが、日本と周辺諸国の関係が悪化した事の影響で、それまで毎年大勢が入学していた国からの留学受け入れが突然激減したということを経験した事もあります。その国家間の関係悪化の発端は領土問題でした。
第2次世界大戦以降、世界全体でグローバル化が進み、国家間の垣根は低くなる流れが続いてきましたが、これから先の未来を考える際、私たちを取り巻く環境は今後どうなっていくのでしょうか。米中貿易戦争の行方や周辺諸国と日本の関係性は不透明で、また自由競争や民主主義が揺らいでいるなど国際社会は混沌とした状況の中にあります。また、温暖化や気候変動、人口増加による食糧危機が予測されるなど地球規模の課題が山積しています。今回コロナウイルスが突然現れ世界を大きく揺さぶりましたが、私たちを取り巻く外部環境にはいつどのような変化が起こるかわかりません。

いざそのような外部環境の変化が起こると、輸入依存率が高い製品はそのショックで供給が滞り、社会や生活に影響を与えることが予測されます。例えば食糧やエネルギーをはじめ今回のコロナウイルスの感染拡大で経験した医療資材などの必需品が不足することになると、地域社会でこれまでのような生活が維持できなくなり、非常にリスクの高い状態にあると言えます。地域が自立し、食糧やエネルギー、その他必需品を地産地消できている社会を創り出すことが出来れば、仮に国際社会で何が起こったとしても、受ける影響は少なく済むはずです。社会を維持していく上で必要なものを地域内で作り出し、循環が完結する比率を高める事は、地域の持続可能性を考える上で重要な事と考えます。
それを実現するためには、先端の知識・技術によるビジネスへのチャレンジすることが必要になるでしょう。エネルギーの課題に関してはバイオエネルギーや再生可能エネルギーを活用したビジネスへのチャレンジかもしれませんし、食糧の課題に関してはIoTやロボット、ビッグデータを活用した農業へのチャレンジかもしれません。新しい事業にチャレンジすることを通して社会の課題解決に貢献していきたいと考えています。

NSGグループでは、更なる飛躍を遂げる事を目指して、「N」「S」「G」の三つの文字に「New Sustainable Growth」という新たな意味を持たせました。「新しい持続可能な成長を」という意味で、単なる経済成長を目指すだけでなく、地域を活性化し、豊かさと幸せを感じられるまちにする事業を創造することによる成長であり、地球全体の課題解決に資する事業の創造による成長を目指すことです。
世界で何が起こっても決して慌てる事のない持続可能な地域づくりや、幸せ感あふれる地域づくりに貢献できる、地産地消をキーワードとした事業にもチャレンジしていきたいと考えています。           〆