第6回「食の新潟国際賞」表彰式を開催【コラム188】

11月24日(火)、第6回「食の新潟国際賞」の表彰式と受賞者記念講演会が行われました。人の命を支える食の問題は、全世界規模で考えるべき重要課題です。「食の新潟国際賞」は世界の食の課題を解決し、人類の危機を救う事に貢献した人や活動に光を当てる日本で唯一の食分野の国際賞です。この賞は、多くの企業や個人の寄付、新潟市のサポートの下で「(公財)食の新潟国際賞財団」が主催する産学官一体の取り組みで、現在私が同財団の理事長を務めさせていただいております。コロナ禍ではありますが、YouTubeでのライブ配信(限定公開)なども行い、この度表彰式と受賞記念講演会を開催することができました。参列者、関係者の皆様にお礼申し上げたいと思います。

新潟は、米を代表とする食糧生産をはじめ多様な食品産業や食の研究施設が集積し、全国的にも高い水準で農業と食品産業が発展した地域です。その原点には、市内亀田郷において水と土との壮絶な戦いに挑み、沼地だった土地を日本有数の豊かな水田に変えた、元亀田郷土地改良区理事長の佐野藤三郎氏をはじめ、先人達の不屈の精神とたゆまぬ努力がありました。その志と技術は、中国黒竜江省三江平原の農業開発プロジェクトで指導的役割を果たし、今もなお食分野の国際貢献として高く評価されています。
食の新潟国際賞財団は、食の新潟を作り上げた先人達の意志を次の世代に継承し、そして新潟が世界に貢献するための活動に取り組んでいます。

第6回目となるこの度の表彰においては、世界12カ国87名・団体より応募、推薦をいただき、4部門で表彰を行いました。
グランプリである大賞は、世界において活動または研究が高く評価され、世界の食の課題解決に貢献する方に贈られます。今回は、中村哲様・ペシャワール会・PMS(平和医療団・日本)が受賞されました。アフガニスタンの大干ばつと内戦による難民の餓死を救うため、緑の耕地を蘇らせる用水路を建設し食糧生産と農業振興を進め、農民の定住と飢餓と貧困からの脱却など、多くの功績を残し殉職した中村氏の崇高な活動を讃えて賞を贈り、ペシャワール会の活動の継続を支援いたします。
佐野藤三郎特別賞は、世界や地域間での国際協力や研究において顕著な実績を上げた方に贈られます。受賞者は新潟大学自然科学系・フェローで新潟薬科大学応用生命科学部・特任教授の大坪健一さんです。永年にわたりコメの品質・利用研究分野で多くの研究に取り組み、加工利用技術分野におけるアジアの第一人者として国際研究交流などその普及において大きな功績を上げました。
次に21世紀希望賞は、将来的に世界貢献への可能性があり、今後の発展と成果が期待できる研究や活動に贈られます。受賞者は国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の矢野裕之さんです。米粉パンの製造技術を開発し、一般消費者の米粉・ホームベーカリー機器を実用化し、国内外に広く普及させました。この技術は小麦アレルギーを持つ人たちにも恩恵を与えています。
そして、今回新設された地域未来賞は、新潟県内在住者で、食品産業や農業分野での研究や活動が地域経済の振興と発展に大きく貢献された方を表彰するものです。初めてとなる地域未来賞の受賞者は、江川技術士事務所所長の江川和徳さんです。新潟県の食品加工技術の向上と加工食品の開発と製品化の第一人者で、特にコメ加工食品の低たんぱく質米飯や無菌化包装、餅やトレイ炊飯などの包装米飯の開発を全国一のレベルの規模に押し上げました。
以上の受賞された皆さんの活躍と業績は、正に食の新潟国際賞の創設主旨にふさわしいものであり、受賞者の皆さんのご研鑽と功績に対して改めて敬意を表します。

国連が採択した2030年までの開発目標SDGsの2番目に「飢餓をゼロに」が掲げられているように、飢えと栄養不足の問題は世界の重要なテーマです。気候変動や災害、紛争、暴力などが原因で、世界の6億9千万人が飢餓に苦しんでいます。また、コロナ禍でのロックダウンや外出自粛は、私たちの食を支える生産者や流通の現場にも大きな影響を与えました。見えざるウイルスの感染拡大が私たちの食卓にどのような影響を与えるか、世界中において食と農の大切さについて改めて考える機会になりました。
飢餓を撲滅し、持続可能な未来を創っていくためには、世界があらゆる知見と経験を共有し、協力して問題解決に取り組んでいかなければいけません。当財団は今後も食の新潟国際賞を通じて、微力ではありますが、世界の食や農の発展や課題解決に貢献することを目指し、顕彰事業に取り組んで参りたいと考えています。    〆