新潟医療福祉大学が開学20周年を迎えて【コラム204】

新潟医療福祉大学は、おかげさまで開学20周年を迎えることができました。これもひとえに、大学の運営にご協力いただきました皆様のご支援の賜物です。心より御礼申し上げます。
新潟医療福祉大学が開学した2001年4月は、少子高齢化が急速に進む中で大きな社会の変化の幕が開いた時期でした。国民一人ひとりが医療や介護が必要な状態になっても、住み慣れた地域で安心して生活できるよう環境を整備していくことが重要な課題と位置付けられ、来たる超高齢化社会に向けて介護保険法が1年前に施行された、そのような時代です。

大学の開学に当たっては、地域の医療福祉分野に貢献する人材を育成するという目的に照らし、できるだけ地域の総意を結集した地域社会に根差した大学づくりを目指し、新潟県及び新潟市をはじめとして関係各方面かご支援いただき、運営母体となる学校法人を設立するための準備財団の設置から始まりました。文部省から準備財団の設立許可を受けたのは1999年6月の事でした。
もちろん準備財団を設置するまでの準備の期間も必要でした。近い将来、高齢社会の到来によって医療福祉人材の育成やサービスの質向上が地域にとって大きな課題となると痛切に感じ、その解決のために大学設置が必要であると構想を始めたのは、1993年頃まで遡ります。いよいよ大学開設の決意を固め、NSGグループ内に大学設置準備室を設置したのが1997年、そこから本格的に開学に向けた活動が動き出しました。実際に開学に至るまでは、数えきれないほどの課題がございましたが、参加された皆さんのご努力と、応援してくださる皆様の支えでなんとか乗り越え、開学することができました。

新潟医療福祉大学は、開学時2学部5学科を設置し321名でスタートしましたが、20年が経過いたしました現在は6学部13学科、大学院1研究科5専攻を設置し、約4700名の学生が学ぶ保健・医療・福祉・スポーツ分野の総合大学に発展いたしました。これまでに約12500名の卒業生を社会に送り出し、卒業生の皆さんはそれぞれの職場や地域の中核的な人材としてなくてはならない存在として活躍されています。

新潟医療福祉大学では、各学科が国家資格や資格試験に対応するカリキュラムを用意していますが、全学を挙げた組織的な資格取得支援体制を構築し、開学以来全国トップクラスの合格率を実現しています。スポーツの分野においては、全12種目を強化クラブとして指定し、トップアスリートの育成にも取り組んでいます。オリンピック出場選手や野球、サッカー、バスケットボールのプロ選手を多数輩出するなど各分野で目覚ましい活躍を遂げています。
また大学は、知の拠点として研究活動を推進し、我々の社会を進歩させていくことも重要な社会的な役割を担っている機関です。令和3年度科学研究費補助金の「スポーツ科学、体育、健康科学、およびその関連分野(リハビリテーション科学を含む)」において、新潟医療福祉大学の採択件数(過去4年間の新規採択の累計数)は全国で4番目にランクインしています。科研費は文部科学省による競争的資金でありますので、社会的に高い価値のある研究が盛んに行われているということが客観的に示されているではないかと思います。

こうした成長のロードマップになったのは、開学10年を契機に次の10年間をどのような方向で進むべきかについて、全教員・職員が参加して策定した新潟医療福祉大学将来計画でした。2020年までの長期目標として「地域社会のニーズに応えるため、質が保証されたQOLサポーターとなる学生5,000名の大学とする」ことを掲げ、それを達成するための10のドメインを設定し、中期目標、短期のアクションプランが定められました。その長期目標はほぼ達成され、現在の新潟医療福祉大学の姿に至っています。
2020年には、2021年から2030年までの10年間を期間とする新たな将来計画が策定され、「『優れたQOLサポーター』を育成する、在学生8,000名の総合大学を目指す」という長期目標を掲げました。

日本では、令和7年までに団塊の世代が全て 75歳以上となり、今後高齢化のピークに向かおうとしています。こうした中で、新潟医療福祉大学が担う社会的役割もますます大きくなってまいります。
新潟医療福祉大学の基本理念である「QOL(クオリティ・オブ・ライフ:生命の質)を支える人材を育成する大学」、「地域社会のニーズに応える大学」、「国際社会に貢献する大学」を基軸に、社会の期待に応える教育研究機関として今後も更なる充実を図ってまいる所存です。これまで新潟医療福祉大学を支えてくださいました関係各位に改めて心から感謝申し上げますとともに、今後も一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。               〆

 

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