郷土愛を育むカードゲーム「知域王」【コラム206】

NSGグループの愛宕商事㈱が開発、販売している「知域王」というカードゲームをご存じでしょうか?「知域王」というゲームは、「あそぶ」「学ぶ」「好きになる」というキャッチコピーが付けられているように、カードゲームでの遊びを通して地域のことを学び、地域を好きになっていくというゲームです。2021年4月に第1弾の「佐渡版」が発売され、今年4月に第2段「新潟市版」が発売されました。

知域王は、地域の観光地、グルメ、歴史、文化などが掲載されたカードを使って得点を競い合うゲームです。そしてカードごとの歴史的つながりや文化的つながりのあるカードを集めると高得点を得られる“ご当地役ポイント”が設けられており、地域のことに詳しい人がゲームで勝ちやすくなる仕組みになっているそうです。子どもたちは、ゲームで勝つために一生懸命地域のことを学び、ゲームを楽しみながら地域のことにも自然と詳しくなることができます。
また、学習教材として学校の授業に活用することを想定し、カードには写真やイラスト、説明文章に加え関連情報にアクセスするための2次元バーコードを記載し、タブレット端末を使用してさらに深く学ぶことができる工夫を施しています。
このカードゲームの開発を中心になって進めているのは、愛宕商事㈱の教育事業部の田宮翔さん。田宮さんはボードゲームやカードゲームが大好きで、ゲームを楽しむだけなく、何か人々のためになることをしたいという思いを以前から持っていたそうです。NSGグループにキャリア採用で入社して約1年経過した後に、小学校の地域学習教材としてのカードゲームを開発する企画案を提案し、プロジェクトを立ち上げました。

どこの地域にもそれぞれの魅力があると思いますが、実際に住んでいる人にとってはそれが当たり前になってしまっていて、地域外の人が見て魅力に感じるものであっても、その魅力に全く気付いていないこともあります。子供の頃にこうしたゲームを通じて地域の魅力を知る機会を持つことは、郷土愛を育むことに繋がると思います。
地方では進学や就職などを機に、多くの若い人達が生まれ育った地域を離れてしまうことが大きな社会課題です。生まれ育った地域の魅力に気付いていれば、地域に留まり地域の活性化に貢献したいという気持ちが芽生えることもあるでしょう。また、何か目標や理由があって故郷を離れてしまった人にとっても、故郷はアイデンティティを確認できる大切な場所であると思います。地域の魅力を良く知った上で離れていったとしたら、人生のどこかのタイミングでチャンスが訪れれば、故郷に戻ってまた生活を始める可能性も高まると思います。

発売開始以来、新潟県内外の各地域から問い合わせをいただいています。このゲームのすばらしいところは、それぞれの地域に歴史や個性があるので、あらゆる地域版の「知域王」を制作する可能性があるというところです。第3段として新潟市の内野という地域の魅力を詰め込んだ「知域王」の制作に取り掛かっています。「知域王」の制作においては、学校関係者や行政関係者をはじめ地域の様々な方々に関わっていただいて制作しておりますが、内野版では内野小学校の生徒さんも授業の一環としてゲームの制作に参加してもらう予定です。ゲーム制作の過程において、地域の魅力の掘り起こしを行いますので、大人、子供を問わず、制作に参加いただいた皆さんの郷土愛が更に高まるという効果も期待できます。
この「知域王」の活動が全国の各地域に広がり、それぞれの地域の皆さんの故郷を思う気持ちが高まることに繋がっていけばと思います。            〆

 

 

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