【コラム第7回】アルビレックス新潟と大連実徳との国際交流親善試合

 アルビレックス新潟と中国のサッカーチーム「大連実徳(だいれんじっとく)」との国際親善試合が7月28日(水)午後7時半、新潟市のビッグスワンで行われました。新潟市が3月に13市町村と合併したことを記念した試合です。3万人を超えるサポーターが集まり、白熱した試合が繰り広げられ2-2で引き分けました。アルビレックス新潟にとって、リーグ後半の戦力アップを図る機運を高める試合となりました。 


 日本では、中国のプロリーグはあまり知られていませんが、今年のアジアチャンピオンズリーグで横浜Fマリノスや磐田というJリーグ屈指の強豪が中国のクラブチームに苦杯を舐めさせられたことから見てもわかるように、実力のあるリーグです。この大連実徳との試合は、一昨年、新潟市長が中国を訪問した際、元中国代表監督の方を通じ大連実徳のクラブ関係者とお会いする機会があったのですが、そこでサッカーの話で盛り上がり、「アルビレックス新潟がJ1に昇格したらぜひ親善試合をやりましょう」と市長から話を出して実現したものです。

 大連実徳は、中国・遼東半島の先端にある大連市をホームタウンとするプロサッカーチームで、中国のプロリーグである中国スーパーリーグが1994年に発足して以来、3連覇を含む7回の優勝実績があり、今年も14チーム中首位を快走しています。また、2002年のワールドカップ中国代表メンバーに4人の選手が選ばれているほか、20名余りの選手は国の代表チームやオリンピック代表、ユースチームなどに選ばれたことがあるなど、その実績を挙げるときりがありません。今や、中国のみならずアジアを代表する名門クラブになりつつあるチームなのです。

 新潟市は、歴史的にロシア極東、中国東北部、朝鮮半島などの日本海対岸地域と密接な関わりを持ってきており、立地的条件から日本海に面する国々への窓口となっています。近年は特に積極的な交流戦略を展開してきており、中でも中国は昨今の経済成長が著しく、世界で最も注目されている国の一つです。人民元の切り上げも実施され、ますます発展が望まれます。
 大連市は、中国東北部の遼東半島の先端にあり、面積は新潟県とほぼ同じ1万2574平方キロメートル、人口は約560万人、三方を海に囲まれた港湾都市です。日系企業が約2500社進出しており、日本語の看板も至る所に見受けられます。また、新潟港との定期航路もあります。平成9年3月には、東北三省(黒龍江省・吉林省・遼寧省)や環渤海地域等との経済交流、国際物流の拡大を促進する拠点として、社団法人新潟県産業貿易振興協会により新潟県大連経済事務所が開設されました。新潟市も同年4月からここに参画しています。
 (※)中国には、新潟市の友好都市であるハルビン市もあります。その経済・技術交流を円滑にするため、昭和61年4月に、新潟・ハルビン経済技術交流促進協会が設立されました(※)。さらに、今年4月に新潟市長が新潟県知事と共に上海を訪れるなど、世界都市上海との関係も深まっています。市政府と具体的交流を協議し、交流協定の締結へ向けて話が進んでいるようです。

 新潟市が全国に先駆けて設けた『国際創業特区』という制度をご存知でしょうか。これは、日本で1番外国資本が入りやすいところが新潟市であるということを、特に中国に対して、国際創業特区の形で示したものですが、大変に反響があるそうです。実際に新潟視察に来た企業が既に何社もあるそうで、訪中し新潟の施策や取り組みについて積極的にPRしている成果が出ているようです。
 この他にも、観光という面から、東アジア、中国の沿海部を中心とした外国の方々に新潟へ来て頂く運動を積極的に行っています。ゴルフ、スキーなどのスポーツや温泉が楽しめ、東京ディズニーリゾートなどがある首都圏にもほど近いというのが新潟のセールスポイントだと思います。

 このような積極的な海外との交流戦略を背景として、今回の親善試合は、新潟市のスポーツの普及やスポーツでの国際交流の枠を大きく超えた効果がありました。
 シンガポールでは、昨シーズンからシンガポールリーグに参加しているアルビレックス新潟・Sによって、在星日本人のみならず現地の方々の中に「新潟」という名前が最も有名となり、良いイメージをも浸透させています。また、バスケットボールの新潟アルビレックスにも、ウラジオストクのチームとの親善試合のお話が来ています。

 以前にも増して、アルビレックス新潟が、新潟の国際化の一助を担っていると感じています。

 (※)新潟市国際文化部国際課ホームページ参照

池田 弘