【コラム第96回】 インドネシアを訪問

 先日、JNBと東京NBC共催の視察ツアーがあり、5日間の日程でインドネシアを訪問してまいりました。GNPにおいて、アジアではインドの次に日本を超える可能性があると言われているのがインドネシアです。そのとおり猛スピードで成長を遂げてきている、というのが率直な感想でした。

 訪れたのはラマダンの時期で、回教徒に配慮してグラスではなくマグカップで中の液体を見せないようにしての乾杯となりました。郷に入りては郷に従えで、宗教と生活習慣の違いへの配慮に気を使うにこしたことはありません。
 日本からは丸亀製麺など飲食業者が進出していますが、豚肉は使わないなどの気遣いは不可欠です。開店へ向けての工事中のラーメン店を視察しましたが、長野から進出する業者だということでした。「麺茹で機」などの機材は日本から持ち込みますが、食材は現地調達。水が軟水ではないので浄水器が必需品、といった苦労もあるようです。
 インドネシアでは、いわゆる中間層が増えて来ています。消費地としての魅力も、ますます大きくなっていくだろうとの印象でした。食べ物について言えば、「サテ」という焼き鳥のような肉料理がとても美味しく、ジャスミンの香りがする高級長粒米も印象的でした。

 インドネシアの首都ジャカルタは今まさに開発の最中で、高層ビルがどんどん建設されています。そのすぐ隣にバラックがある光景は発展途上国特有のものでした。貧富の差も残る一方で、全体としては急速に近代化してきている印象を受けました。
 ジャカルタでは「JACインドネシア」という人材派遣業の会社から、話を聞きました。その中で説明を受けた「インドネシアで事業をやる上で必要な事」は、まず「人事の責任者にはインドネシア人を充てるべし」ということでした。インドネシアでは法律で、外国人が人事の責任者となってはいけないことになっており、現地法人の人事部長に日本人が就くことはできません。このルールは、当地の文化や習慣を良く理解したインドネシア人の人事マネージャーに対応させることが、インドネシアの利益に叶うとしているからだそうです。

 また、大統領選が近付いており、現政権は勝利するために「労組より」の政策を取るようになってきているそうです。そのへんも経営者にとって気をつけなければならない点と言えるかもしれません。
 バリは、回教徒が多いジャカルタとは違ってヒンズー教徒が多く、ガラリと土地柄の違う印象でした。リゾート地であるこちらでは、同行した美容やリラクゼーションの会社の皆さんが関心を示していましたが、大いに日本企業のビジネスチャンスもありと感じました。
 この、人口2億3700万人の大国インドネシア。既に日本からゼネコン、建設機器メーカー、大手商社、自動車メーカーなどが進出していますが、これからさらに大消費地として成長するであろうこの国と、一層結びつきを強めていかなければならないという印象を受けた視察でした。

池田 弘