総合スポーツクラブへの挑戦

サッカーJリーグの打ち出した「百年構想」は、地域に根ざしたスポーツクラブによるスポーツ文化の振興を謳っています。主役は地域であり、アルビレックス新潟はその精神を体現する、地域と共にあるチームとして活動してまいりました。
同じ精神のもと複数のスポーツ分野で、アルビレックスの名を冠して活動するスポーツチームが生まれ、それぞれが地域密着を掲げて活動を行っております。

これまでの日本のスポーツは企業が所有する実業団チームが大半でした。本来は、公共財としての存在であるべきスポーツが、企業に所有されていたのです。しかし企業経営の悪化で解散するチームが相次いでいます。企業が支える形をとる限り、そのようなことがいつでも起こりうる訳です。スポーツとは本来、地域に根ざして存在し、地域の人達の支援で運営するべきであるというのが私の持論です。地域で支えることで、自分たちのチームであるという意識を持っていただき、地域にスポーツが根付き、継続的な運営が可能になると思います。

サッカーを始め、バスケットボール、野球、ウィンタースポーツ、チアリーディング、陸上、モータースポーツと各分野に広がったアルビレックスは、それぞれ全てが独立した株式会社や組織です。住民による後援会組織、大小様々な地元企業などによって支えられており、地域密着型の運営モデルを実践しています。国内初の総合型地域スポーツクラブとして、今では全国から視察に来られるようになりました。「新潟でできたのだから我々も」と言うわけです。
我々がモデルにしたのは、ヨーロッパのクラブ、例えばスペインのバルセロナです。17万人のソシオ(会員)が支え、サッカーをはじめバスケットボールやハンドボールなど様々なプロチームが運営されている市民クラブです。スポーツが地域に根付いているヨーロッパと日本では事情が違い、新潟ではまず「チームありき」から始めました。チーム名を統一したからこそ、「アルビレックスすなわち新潟」とアピールすることもできます。そしてアルビを新潟の公共財ととらえてくれるムードが育ってきたのだと思います。

こうしたスポーツチームの存在は新潟におけるスポーツのレベルの底上げも果たしました。サッカーのアルビレックス新潟からは、各世代で日本代表選手が選ばれるようになりました。しかも新潟出身の代表選手が生まれ、次世代の代表候補も続々と連なっているのです。フル代表として世界の舞台に立つのも時間の問題でしょう。
また陸上やウィンタースポーツでも、五輪出場を果たすトップアスリートを各チームが輩出しています。こうした日本の代表選手たちが競技生活の拠点に新潟を選んだことで、彼らが身近な存在となりそのプレーを見て成長する子供たちが次の時代を作るという、良い循環が生まれてゆきます。

各アルビレックスが今後どのように連携して活動を行ってゆくかについてはいろんな夢を描いています。例えばジュニアの育成に関る下部組織の一体化、そこで子供たちが自分に合ったスポーツを見つけ指導を受ければ、才能の発掘にもつながります。また、スポーツフェスティバルのようなイベントを共同開催し、アルビの選手や指導者から子供たちが自由に指導を受けるという形もあります。様々なスポーツに接する機会の提供、複数のアルビが存在するというのはそんな役割も果たせるのです。

スポーツは直接心に訴え感動を与えてくれます。情熱を持って応援できるチームが地元にあれば、人生を楽しめますし世代を超えたコミュニケーションの良いきっかけにもなるでしょう。元気なスポーツチームを地域が持つことによる効果は、まことに意義のあるものです。またスポーツは人間形成に大きな役割を果たします。努力の大切さを理解し、協調性を養ってくれます。各チームはそうした役割を担うに相応しい存在として、努力し成長して欲しいと思います。
アルビレックスの挑戦は、まだ道半ばです。各チームが地域に愛され歩んでゆくことを願ってやみません。

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