「教員」から
「学校づくり」へ。
学びのかたちを変える挑戦。
学校をつくった男。
1993年新卒入社。学習塾での教科指導や生徒募集、複数校舎の統括、ブランドマネージャーなどの経験を経て、2015年にNSGグループに加入したスイミングスクールの代表取締役に就任。事業の再建を担うこととなる。その後、開志国際高等学校の副校長を経て、現在は学校法人大彦学園の常務理事として、広域通信制高校の設立を手掛け、新しい学びのかたちを追求している。
教育への情熱。キャリアの選択。
きっかけは覚えていないが、小学生の頃から「先生」という立場に憧れを抱き続け、教育学部へ進学。数学の教員になることを目指した。ただ、教育実習を経験する中で、生徒と関わる喜びを実感しつつも、公教育における学校という枠組みに生涯収まって生きることに少しの抵抗感が生まれていた。もっと多様な環境で教育に関わる道も考えたい。社会全体の仕組みを知りたい。そんな思いが募り、民間企業への就職活動を開始。そんな中で出会ったのがNSGグループだった。当時はまだ学習塾と専門学校を数校運営する程度の規模だったが、教育という垣根を超えて多様な事業展開を始めており、挑戦的な社風に魅力を感じた。教員採用試験には合格していたものの、NSGグループに入社を決断。入社後は学習塾事業を展開する株式会社NSGアカデミーで国語、数学、社会の教科指導や生徒募集などの校舎運営からキャリアをスタートした。特に国語は自ら最も苦手としていた教科でありながら、理系出身らしい論理的なアプローチが好評を得たことで、当時あったテレビの高校入試解説にも出演した。入社3年目には、数百人の生徒が通う大規模校舎の責任者に抜擢。予算計画の作成・実行や校舎としての方針策定、部下育成など、多岐にわたる業務を担うなかで、教育だけでなく経営の視点を持って仕事をする機会が増えていく。
試行錯誤の中で培ったマネジメントスタイル。
5年目に新しいビジネスを生み出すための社内研修プログラムに参加した。自らビジネスプランを作成し、プレゼンテーションをする。この研修が契機となり、次第に「教育」と「経営」を結びつける視点が強まっていった。その後、エリアマネージャーとして複数の校舎を束ねる役割を担うようになり、30歳の頃には新設校舎の立ち上げなどを通じて「ヒト・モノ・カネ」の運用に深く関わることになった。社内システムの再構築プロジェクトでは、関係者の中でさまざまな思惑が錯綜する中で、リーダーとしていかに合意形成して、ゴールへ導くかに苦悩した。答えが見えかけていても、強引に進めるのではなく、丁寧に意見を引き出し、納得感を生むファシリテーションによってプロジェクトを加速させた。40歳の頃には赤字状態だった株式会社中条スイミングスクールの代表取締役に抜擢され、再建を任された。現場スタッフと何度も意見を交わし、共通の目標を設定。給与体系の改善やサービス品質向上に取り組み、2年で黒字化に成功。これらの経験を通して、「正しい方針を示し、人を適切にマネジメントすれば事業は上手くいく」という自分の事業経営スタイルが生まれていった。
学習塾経営から学校経営へ。異文化交流に取り組む。
40代半ばで開志国際高等学校の副校長に就任。最初に直面したのは、学校と企業の組織文化の違いだった。教員たちは教科専門性が高く、それぞれが教育に対する信念を持っている。会議では、しばしば意見が衝突し、方向性が定まらない。すぐに全教職員と個別面談を実施し、一人ひとりの課題意識や想いを丁寧に聞き取った。そのことで、少しずつ信頼関係が生まれ、合意形成を重視する文化が浸透していった。次に取り組んだのは、学校の個性をさらに磨き上げること。医学科進学、国際情報、アスリート、国際アスリートという4つのコース・カリキュラムそれぞれの強みを際立たせるための施策を展開した。医学科進学コースでは基礎を固め、実績を積み上げるための教育環境を整備。一方、国際情報コースでは積極的に国際交流の機会を設け、生徒たちが世界に目を向けられるよう支援した。また、留学生への生徒募集活動も強化し、何度も海外へ行った。現在では中国をはじめ、アフリカやニュージーランドなど、多国籍な生徒が毎年50名ほど集まるようになり、校内は国際色豊かな環境へと変貌を遂げた。生徒たちは自然なかたちで異文化交流を体験できるようになり、このことが名門大学への進学率向上など、さまざまな相互作用をもたらすようになった。
広域通信制高校の設立。新しい学びのかたちをつくる。
2025年、NSGグループに「広域通信制高校」が誕生する。この構想は数年前から動き出していた。コロナ禍でオンライン教育が広がり、学びのスタイルが多様化した中、さまざまな理由で全日制に通えない生徒たちが自分らしく夢を追いかけられる場をつくりたい。そんな思いが基盤となった。設立に向けては数年前から動いてきた。認可にあたっては新潟県をはじめとする関係機関と粘り強く交渉し、規定そのものを現状に即したものにつくりかえる活動もした。この学校にはNSGグループらしい教育の特色がある。職業探求専攻、高校・大学連携専攻、医学科難関大専攻に加え、アニメ・マンガ、eスポーツ、アスリート育成など専門性の高いコースが揃う。特にアントレプレナーコースでは、NSGグループが運営する開志専門職大学と連携し、高校生がビジネスプランを練り上げ、実践に挑む環境を整えた。優れたアイデアには大学側が学生向けに用意しているファンドを活用し、事業化を支援するという、他にはない仕組みも備えている。講師陣も魅力的だ。NSGグループにゆかりのあるオリンピアンやプロスポーツ選手らがアドバイザーとして生徒に関わり、自らの経験を共有。また、海外で活躍する日本人を招いた特別講義では、国際的な視点と挑戦する意義を生徒たちに伝える。「先生になりたい」という子どもの頃の思いは、「学校をつくる」というカタチに姿を変えて、いま夢がかなった。