新型コロナウィルスに
懸命に立ち向かう
地域医療の現場から。
医療✕教育の可能性。
医療法人愛広会中条中央病院総務課勤務。新潟医療福祉大学医療経営管理学部で医療事務を学ぶ。2018年NSGグループ入社。新潟リハビリテーション病院に配属。同年の12月には新たにグループに加入した中条中央病院に異動。現在、病院スタッフとして新型コロナウィルス対策に取り組む。新潟県胎内市出身。
病気がちだった幼少期。病院は身近な存在だった。
子供の頃、体が弱く、病院は身近な存在だった。やさしい看護師さんや薬剤師さんに憧れ、将来は病院で働こうと決めていた。高校の時、新潟医療福祉大学のオープンキャンパスに参加。そこで医療事務という仕事を知った。医療機関の事務方として、医療費の算定など経営サイドのサポートをする。あがり症の自分には裏方の方が合っているんじゃないか。先生に相談すると背中を押してくれた。大学では日本の医療にはさまざまな問題があることを学んだ。中でも地方の医療従事者不足は身近で深刻な問題。確かに大学の友人たちも、多くが卒業後に東京に出ていく。生まれ故郷の胎内市も若者の流出が止まらない。なんとかできないか?
おぼろげに感じ始めた頃、NSGグループのインターンシップに参加した。グループ内の医療機関と教育機関が連携すれば、新潟で育てた人材を、新潟に留め置くことができる。それだけではない。患者のたらい回し問題や医療と介護の連携問題など、NSGグループのネットワークを活かせば総合的に解決できるのではないか。頭の中の課題とNSGの取り組みが重なった。ここでしかできないことがある。ここにしよう。勝手に入社することに決めていた。
医療の裏方として、病院経営を支える。
配属されたのは新潟リハビリテーション病院の医療事務課。外来での受付や予約センターで診療予約を担当する。当時、患者さんのリハビリ待ちの時間が長いことが課題となっていた。先輩から声をかけられ、一緒に対応マニュアルを作ることになった。驚いた。いきなりそんな仕事を任されるなんて。「いや、むしろ新人だからこそ、患者さんの目線に立てるはず」。そう言われて燃えないわけがない。数ヶ月後、待ち時間はグッと短くなった。患者さんにもスタッフにも喜ばれた。よし、もっと頑張ろう。その矢先、中条中央病院がNSGグループに加入し、わずか9ヶ月で異動に。
今度は総務課。病院内の備品の発注やメンテナンスが仕事となった。学んできたことを生かせない。塞ぎそうになる気持ちを奮い立たせたのは、あの夢を思い出すことだった。医療事務がしたくてここに来たわけじゃない。医療分野の大きな課題を解決したかったから。意識が変われば、行動も変わる。毎日病院内を動き回った。電話で済むことも直接出向いた。椅子に座っている時間がもったいない。「近さん、ちょっと教えてよ」。気がつけば病院中のスタッフから頼られる存在になった。
新型コロナウィルスが地域医療を襲う。改めて見えてきた自分のテーマ。
2020年。世界を新型コロナウィルスの脅威が襲った。新潟県胎内市は高齢者比率が高い、人口3万人に満たない地方都市。中条中央病院はこの街の中核病院であり、PCR検査や抗原検査を受け持つことになった。もし、一人でも陽性患者が出れば、一時的にでも外来を止めざるを得ない。院内に緊張感が走った。消毒用アルコールやアクリル板といった必要物資をリスト化し、緊急度の高いものから調達に走る。中でも医療用マスクが足りない。グループ内の愛宕商事株式会社から情報を入れてもらい、手を回してなんとか手配する。病院間で情報交換を重ねる。できることはすべて手を打つ。目の前の患者さんを守るため。そして、地域医療を守るため。
ニュースで医療崩壊が叫ばれている。最前線で戦う医師や看護師たちと同様、裏方にも裏方の戦いがある。ワンチーム。今、全員が一つになっている。休む暇もないほどの忙しさの中にあって、改めてこの国の医療が抱える問題がリアルに見えた。簡単に解決できるようなものではないこともわかった。だからこそ、やらねばならない。この小さな街から、地域医療の新しいモデルを作る。いつか、必ず。