教育は最高のサービス業。
新しい学習塾のロールモデルをつくりたい。
塾業界のイメージを変える。
新潟市出身。新潟大学教育学部卒。2014年、民間教育の可能性を感じてNSGグループに入社。2021年~2022年には、集団指導ブランドの英語・国語の教科責任者として、教務方針や教材開発などの経験も積む。現在はNSGアカデミーNSG教育研究会寺尾校の校舎責任者を務め、二児の父として子育てにも奮闘中。
「授業力」を鍛え、子どもたちの知的好奇心に火をつける。
大学は教育学部。はじめは教員になる予定だった。民間の学習塾を選んだのは、教育を最高の「サービス業」として捉えたから。学校も塾も「教える」というサービスに違いはない。ただし、民間企業は競争原理のなかにある。人気があれば繁盛し、そうでなければ淘汰される。シビアに聞こえるかもしれないが、手応えも大きく、おもしろい。こっちの方が自分には向いていると考えた。では、学習塾の価値とは何か。その一つが講師の「授業力」である。1年目は徹底的に「授業力」を鍛えることに決めた。NSGアカデミーには、1年目の社員に若手の先輩メンターがついて、仕事だけに囚われず相談ができる「師弟制度」がある。今、振り返るとかなり助けになった。先輩の授業をこまめに見学し、薦められた参考文献はすべて読んだ。ある日の小学6年生の授業のこと。中学の学習範囲の話をした。「今やっている勉強はここにつながるんだよ」。何人かが興味を示した。「その先にはね」と高校の範囲まで広げてみた。内容は小学生にわかるはずもない。けれど、彼らの目がキラキラと輝いた。知的好奇心に火がつけば、子どもたちは自ら学び始める。ならば、一人ひとりに向き合いながら、その好奇心の潜む場所を探るのが自分の役割ではないか。「授業力」の根っこはそこにある。自分なりの答えが見つかった。
通塾生を募る力もまた、教室運営には不可欠。
2年目くらいからは「集客力」もまた不可欠な能力だと考えるようになった。自分自身の評判が高まり、ファンが増えれば、通塾生は自然と増えるはず。では、自分の姿は塾生たちにどう映っているのか、自己満足の授業になっていないか、セルフマネジメントを常に意識した。一方で、あえて学校の前でチラシを配るモンパイ(門配)や、住宅地を歩いてチラシを投函するポスティングにも力を入れた。300枚配っても反応は1件か2件。それでも自分の力で集客できた手応えがあった。校舎責任者となってからも意識的に続けた。いまもポスティングをしているのはNSGの塾全体を見渡しても自分くらいかもしれない。アナログ的な方法に見えるが、街を歩けばそこに住む子どもたちの暮らしが肌感覚でわかる。話題が見つかれば会話も弾む。「土田先生って先生っぽくないよね」、生徒からはそんな風に思われているだろう。それが自分の売りでもある。教室の対象は小学1年生から中学3年生まで。なのに、教室の壁には有名大学の名前が張り出してある。それはかつてこの教室で学んだ生徒たちの進学先。彼らの姿が評判になって、通塾生がまた新しい仲間を連れてきてくれる。これもまた集客力。ありがたいと思う。
後に続く人たちのために、ワークライフバランスに挑む。
入社10年目の今年、2人目の子どもが生まれたことを契機に新たな目標ができた。これから学習塾で働く人たちにとって、今以上に働きやすい環境をつくること。1時間の休憩を挟んで7.5時間勤務。業務時間としては長くはない。ただ、勤務終了時間が少し遅いことや勤務時間帯が不規則になることもあると、不安を抱く人もいる。手始めに夏期講習の1ヶ月間を自身が夜の授業を一切担当せずに、チームで乗り切ること、そのうえで成果も出すことを自分に課した。うまくいくのだろうか。不安と同時に直接会えない生徒が少し増えることは、リスクもある。周囲も心配した。夏期講習直前のミーティング。非常勤講師の学生アルバイトを含めた全員の前で本音を話した。今ここで自分が時短に取り組むことで、後に続く人たちの道標になりたい。一つのロールモデルを示したい。それがNSGグループの学習塾の価値をさらに高めるはずだから。「いいですね、やりましょう」。メンバー全員の意識が高まったことで、全体の「授業力」が上がり、2学期の入塾希望者が増えた。人と人が作用し合い、高め合う場所。学習塾ほど魅力的な職場はない。