変化と向き合い、持続可能な農業へ挑む

食卓に当たり前のように並んできたお米。その価格が大きく動いたことで、多くの人があらためて「お米」と「農業」の関係に目を向けるようになりました。消費者にとって米価の上昇は、家計に影響する身近な問題です。一方で、生産者にとっては、米価格は市場の需給バランスや流通などによる影響が大きく、自ら価格を決められるものではありません。

昨年は高くても今年は下がる。価格が大きく変動すれば、農業経営の見通しも立てにくくなります。消費者にとっての米価上昇と、生産者にとっての経営の安定は必ずしも一致しません。では、農業を続ける現場は今、どのような状況にあるのでしょうか。

米価だけではない、農業を取り巻く変化

農業を取り巻く課題は、米価だけではありません。
農業は自然を相手にする仕事です。気温や降水量、天候の変化は、そのまま収穫量や品質に影響します。近年は気候変動の影響もあり、これまでと同じ環境、同じ方法で作物を作り続けることが難しい場面も出てきています。

つまり農業は、「価格変動」と「気候変動」という二つの不確実性に向き合う産業になっています。新潟県にとって農業は重要な基幹産業の一つであり、その変化は生産者だけの問題ではありません。地域の産業を次世代につないでいくためにも、私たち自身が向き合うべき課題だと考えています。

極早生米「五百川」を活かした、新たな農業の試み

こうした環境変化への対応策の一つとして、NSGグループのアグリライフが取り組んでいる栽培技術が、「再生二期作」です。

再生二期作とは、一度収穫した後の株から再び芽(ひこばえ)を伸ばし、同じ田んぼで同年にもう一度収穫を目指す栽培技術です。新たに田植えを行う必要がなく、1回の田植えで2回の収穫を狙えるため、既存の農地や設備を活かしながら人手不足の解消や労働生産性の向上、増収につながる可能性を秘めています。

この取り組みでアグリライフが着目しているのが、極早生品種の「五百川」です。「五百川」は、コシヒカリの突然変異から生まれた品種で、新潟では8月上旬という早い時期に収穫できることが特徴です。1回目の収穫を早く終えられるため、その後の生育期間を確保しやすく、再生二期作という新たな栽培の可能性につながっています。

気候変動によって、これまでとは異なる農業環境になりつつあります。アグリライフでは、その変化に対応する新たな選択肢の一つとして、昨年から再生二期作に取り組んでいます。

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試行錯誤の先に、次の農業を探る

「再生二期作」は、全国的にもまだ確立された技術ではなく、アグリライフでも試行錯誤の段階にあります。昨年からの実践を踏まえ、今年は少しずつ手応えも見え始めています。一方で、刈り取る高さや施肥のタイミング、雑草対策など、実際に現場で取り組んでみなければ分からない課題も数多くあります。自然を相手にする農業だからこそ、机上の計画だけでは見えてこない現実があるのです。

私は、こうした現場の試行錯誤の中に、新しい農業の可能性があると感じています。これまで積み重ねてきた知恵を大切にしながら、変化する環境に合わせて新しい選択肢を探っていく。その姿勢が、これからの農業には欠かせません。

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農業を続けるために、できることを一つずつ

アグリライフでは、再生二期作だけでなく、学校給食の残渣などを活用した循環型農業にも取り組んでいます。また、グループ内の農業法人ベジアビオでは、乾いた田に直接種をまく「節水型乾田直播」に取り組んでいます。育苗や田植えにかかる作業を抑えられるほか、水使用量の削減にもつながる栽培方法であり、持続可能な農業に向けた新たな選択肢の一つです。

大切なのは、最初から大きな成果だけを求めることではないのだと思います。目の前の課題に対して、現場でできることを一つひとつ試し、改善を重ねていく。その積み重ねが、これからの農業を支えていく力になるはずです。

農業を取り巻く環境が大きく変わる今だからこそ、現場でできることを一つひとつ試し、改善を重ねていく。その積み重ねが、持続可能な地域農業への道筋になっていくのだと思います。 〆