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専門学校生が本格的な薬物乱用防止啓発動画を制作。映像のプロを目指す学生にとって貴重な実践の場に。
声優・俳優・舞台・映像系専門学校「国際映像メディア専門学校」が、近年若年層への薬物乱用の広がりが懸念される中、新潟県警察と新潟県福祉保健部からの依頼により、薬物乱用防止を訴える動画を制作しました。動画は同校の学生が中心となり制作し、完成された動画は新潟県警察の公式YouTubeチャンネルで公開され、薬物乱用防止の授業や講演などで活用されています。
学生はどのような思いで制作に取り組み、何を学んだのかなどを、国際映像メディア専門学校 動画・映像クリエイター科 教員 広川一義さんに伺いました。
学生が主体となり、社会的なテーマに取り組む。
― 今回制作した動画はどのような内容なのでしょうか?
広川 「Megu&ラックと一緒に学ぼうNO DRUG」と「黎明(Reimei)」というタイトルの2本を制作しました。「Megu&ラックと一緒に学ぼうNO DRUG」は、新潟県警察ノードラッグ大使を務めるNegicco(ねぎっこ) Meguさんが主演です。薬物依存や誘われた時の断り方などについて考えることができる内容で、中学校での薬物乱用防止の授業で使用される想定のため、教材としての見やすさを意識しました。「黎明(Reimei)」は、同じく新潟県警察ノードラッグ大使の太鼓芸能集団 鼓童による太鼓演奏によりNO DRUGを訴える内容で、中学生だけではなく、幅広い層の方たちに響かせたいという思いで制作しました。
「Megu&ラックと一緒に学ぼうNO DRUG(YouTube)」:https://www.youtube.com/watch?v=g6FF9H9T5N8
「黎明-Reimei-(YouTube)」:https://www.youtube.com/watch?v=bff3iuc5I7c
― こだわったポイントを教えてください。
広川 どのような映像であれば、中学生の教材として使いやすいか?また、解りやすく、理解してもらえるか?を考えることが一番苦労した点であり、こだわった点です。「Megu&ラックと一緒に学ぼうNO DRUG」は、重いテーマながら極力親しみやすいものにしたいという思いがありました。ラックという学生たちで考えたオリジナルキャラクターを登場させることで、柔らかな雰囲気にできたのではないかと思います。アニメーション初挑戦の学生が作った、ラックの動く表情もポイントです。
「黎明(Reimei)」は、薬物乱用防止に興味がない人達にも活動を知ってもらうために、カッコイイものを目指しました。撮影のため、鼓童の本拠地である佐渡にも行きました。屋外での撮影は天気や風にも左右されるので、学生たちも苦戦していましたね。学生がカメラを持って駆け回った、激しいカメラワークが見どころです。
― 学生がメインで制作したのですか?
広川 はい。制作は当校の学生が主体となり、監督、撮影、音声、編集、出演までのすべてを担当しました。様々な科の学生が集まっての制作だったため、動画づくりや編集技術、役者としての演技など、普段学んでいることをそれぞれが発揮してくれました。私は学生へのアドバイザー、サポート役に徹しました。
学生の知識と若い世代の感性を活かして制作。
― 動画を作ることになったきっかけを教えてください。
広川 2021年に新潟県警察と新潟県福祉保健部から、若者にも響く薬物乱用防止動画を制作してほしい、との依頼がありました。同時期に警察本部から当校の全学生に対して薬物防止の講義をしてもらったのですが、それを受けて薬物乱用防止啓発の意図に賛同した、有志の学生で動画制作を行いました。2021年度に高校生向け動画を制作し、今年度は2度目の制作です。それ以前は警察内部で制作していたそうですが、「訴求する世代に近い若い人の力を借りて一緒に作りたい」ということで、声を掛けていただきました。
― どのような流れで制作していったのでしょうか?
広川 新潟県警察と新潟県福祉保健部の担当者の方と学生が1年間ミーティングを重ね、企画内容を詰めました。その後新潟県警察が脚本を制作し、それを元に監督を担当した学生が絵コンテを作り、新潟県警察と新潟県福祉保健部の方にプレゼンテーションを行いました。撮影内容を固めるまでの過程に時間をかけましたね。その後、学生たちが授業で学んだことを活かしながら実際の撮影・編集に取り組み、形にしていきました。
学生が力を合わせ、訴求力を追求。
― NSGグループの他の専門学校との連携もあったそうですね。
広川 Meguさんの衣装を国際トータルファッション専門学校の学生に、YouTubeのサムネイルや「NO DRAG」のロゴを新潟デザイン専門学校の学生に制作してもらいました。このようにNSGグループの学生が一丸となって作品に携わることで、若い世代により身近な問題であることをアピールできたのではないでしょうか。
― 動画についての反応や感想はありましたか?
広川 新潟県警察からは「大変すばらしい作品ができた」と評価していただき、感謝状までいただきました。また、動画内で使用するキャッチフレーズを考えてくださった新潟県出身の芥川賞作家 藤沢 周さんが、「この動画はプロが作ったのですか」と県警の方に聞かれたそうで、「学生が作った」と答えたら驚いておられたようです。これはとてもうれしかったですね。
社会へ出る前の貴重な実践の場となる。
― この取り組みは、学生にどのような影響があったと思いますか?
広川 学生はこれまで「自分の作りたいもの」を形にしてきましたが、今回のケースでは依頼主がいて、要望に応える必要があります。「実社会での仕事ってこうだ」ということを学べ、貴重な実践の場になったのではないでしょうか。そして自分たちの映像作品が多くの人たちの目に触れ、伝えたい事を映像で表現することがどれだけ大変であるかを知れたことは、卒業後に映像関連の仕事をしていく上での大きな意識改革になったと思います。今回の経験を活かし、自分たちの中だけで満足するのではなく、より多くの人たちの心に届く作品を作り続けてほしいですね。
― 今後の思いを聞かせてください。
広川 新潟県でも、近年においては大麻や合成麻薬、違法ドラッグの乱用拡大が特に懸念されていて、極めて深刻な事態が続いていることを知りました。中高生をはじめとした青少年が心身ともに健康な生活を送ることができるよう、今後も機会があればまた学生と共に薬物乱用防止を強く訴えていきたいと思います。また、これ以外にも、地域社会に貢献できる映像作品の制作に学生が主体となって関われる機会があれば、積極的に取り組んで行きたいと思います。
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