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野球に育てられた私は、野球で恩返しを。母校、開志学園で後輩たちに伝えていく。
コロナ禍で全国大会の中止、代替大会での優勝までの道のり
開志学園の教員として着任した日に、明日から女子硬式野球部をよろしくね。と言われました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の防止のため翌日から練習禁止、グラウンドにも入ることが出来なくなりました。社会人になりたての状況で、仕事の状況もよくわからないまま、コロナ禍での教員生活が始まりました。6月には夏の甲子園中止の発表。これを知った3年生は、女子の大会もなくなることを予想したようで、私たちもここで引退ですか?と問われました。「まだ、大会の中止が確定したわけではないから、最後まで諦めちゃだめだよ。もし中止になっても、他の大会ができるかもしれないから」と伝え、言葉で繋ぎとめていたものの、私自身も先が見えない日常に不安を抱えながら過ごしていました。
女子の甲子園と言われる全国大会は中止、毎年出場している関東ヴィーナスリーグも中止が決まりました。そんな時に関東硬式女子野球連盟が関東ヴィーナスリーグの代替大会を実施することが発表されました。すぐに部内でミーティングを行い、「夏の全国大会で日本一」になることを目標にやってきましたが、ここは切り替えて「日本で1位になろう」と目標を明確にして、再スタートを切りました。大会まで練習時間が残り少なかったので、「1日1日を大切にして、野球ができることに感謝して、練習しよう」と伝えました。学生はとにかく野球ができる喜びと目の前に目標ができたことで、目が輝いていましたね。
大会は、準決勝で全国優勝7回と優勝回数最多を誇る埼玉栄高等学校と対戦。先制され、緊迫したゲーム展開の中、2-1で勝利をもぎ取りました。決勝の相手は、昨年度準優勝のクラーク国際高等学校でした。その強豪相手に、先取点を許すも、連続長短打で猛攻を浴びせ、9-1の逆転で、優勝をつかみ取りました。今大会を通して、野球ができることは、当たり前じゃなく、たくさんの人の支えがあるからできることなのだと実感しました。またそれを生徒たちも感じてくれたと思います。
卒業生として、開志学園に対する思い
私が高校生の時は先輩がいなかったので、試合経験を積むことはできましたが、逆に後輩への接し方や先輩後輩の関係性がよくわかりませんでした。コーチの立場で戻ってきて、部員の様子を見ていると、スタッフが声をかけなくても、3年生が主体となって、自然と先輩が後輩に教えたり、後輩も先輩にわからないことを聞いたりと、良い上下関係ができているなという印象です。私は目の前にお手本となる人がいなかったので少しうらやましくも思いました(笑)。野球が上手くなるためには、普段の生活でも学校の模範の生徒となる姿が必要です。挨拶、礼儀、気づかいなど、先輩の姿を目で見て、学ぶことはとても大切です。これは代々受け継いでいって欲しいことです。また、スポーツ選手である前に、高校生であることを忘れず、学業や生活面がしっかりできた上で、野球に取り組んでもらいたいです。
生徒にとって、1回の授業や練習を最高のものにする。
私が教員、そして野球部のコーチとして、大事にしていきたいことがあります。それは常に生徒の立場になって、物事を考えることです。大学の授業で、教職担当の先生が、「教員になったら、君たちは何十回、何百回と授業を行う。でも、生徒にとっては1回きり。一人ひとりと向き合って、1回の授業を最高のものにしよう」この言葉を聞いてから、ずっと大切にしています。一つ一つの授業に対して時間をかけて、念入りに事前準備を行うことももちろんですが、野球部のコーチとして、練習も同じだと思っています。私に今できることを考え、学校の授業や野球部の練習も、一人ひとりにとって意味の大きいものにしていきたいです。
柏倉悠起奈さん
山梨県出身
2016年開志学園高校卒業(女子硬式野球部 1期生)
2020年平成国際大学卒業
2020年4月~開志学園社会科教員、女子硬式野球部コーチ。
小学校2年生~兄の影響で野球を始める。
学校法人大彦学園 開志学園高等学校
所在地:新潟市中央区弁天橋通1丁目4-1
URL: http://www/kaishi.ed.jp