コロナ禍の地域社会に安心を提供。2年間で7万人以上のPCR検査を実施。

愛宕商事株式会社は2021年4月に新型コロナウイルス感染症に関わるPCR検査を行う「にいがたPCR検査センター」を新潟駅南口地区に開設。検査を通して日常生活への不安解消や経済・社会活動の活性化に寄与したいと取り組んできました。

そんな同センターは、政府が5月に新型コロナを5類に移行する決定したことを受け、民間検査所としての役割を終え3月31日で閉店しました。開店までの経緯や苦労した点、検査時のエピソードなどを、今回のプロジェクトを中心になって企画・運営した愛宕商事株式会社 医療福祉事業部部長 滝澤 満さんと、にいがたPCR検査センター センター長 岡村 恵さんに伺いました。

試行錯誤を繰り返しながら、述べで7万以上の検査を実施。

― 開設からここまで2年間を振り返ってみていかがですか？

滝澤　新潟県内初の民間のPCR検査センターとして、地域の皆さまにPCR検査を提供することで、日常生活における不安解消と仕事が滞らないことを目的に開店しました。そして、安価で正確かつスピーディーに検査結果を出すことをモットーに活動してきました。3月31日で幕を閉じましたが、多くの方々にお役に立てたなら嬉しいですね。

岡村　事情があってワクチンを打てない方が、「重症化リスクの高い家族がいて、出張から戻る度に不安だったのでPCR検査をしていました。何度も検査をしてもらい、本当に助かりました」とお礼の言葉をくださりました。大変なこともありましたが、その一言でやって良かったなと思いました。

― 運営する上で苦労したのはどのような点ですか？

岡村　センター内でクラスターが起きないように、室内の清掃や消毒作業を徹底して行いました。スタッフへは心身ともに負担をかけましたが、「検査に来て感染した」ということになれば、大変な問題ですからね。

滝澤　基本的なことですが、間違えずに検査結果を出すことです。開店したころは1日に陽性者が1名出るかどうかでしたが、徐々に増えてきて、ピーク時には20人ほどに。とにかくミスをしないことに神経を使いました。

― 1日で何人くらいPCR検査をしたのですか？

岡村　開店当初は70人ほどでしたが、徐々に検査数が増えていきました。手作業で行う工程が多く、検査数が増えると就業時間が遅くなるため、何らかの改善が必要でした。

滝澤　開店から4か月ほどして当社の業務サポート部が検査システムをリニューアルし、効率的に検査が進むようになりました。その後、新型コロナのピークと共に検査数が増え、1日で最大200名以上に。閉店まで延人数で77,000人以上の検査を行いました。

― 他の検査機関との違いは何でしたか？

岡村　検査と判定を一括して同センター内で行えるので、24時間以内にスピーディーに結果を出せたことが強みでした。出張や旅行のために急ぎで「陰性」の検査結果通知書が必要な方には特に喜ばれました。

前例のない新規事業に苦戦しながらも開店に漕ぎ着ける。

― 改めて開店までの経緯を教えてください。

滝澤　検査センターの場所は新潟駅近くに決めておりましたが、当時の新型コロナウイルスに対するイメージからテナントとして入居するのは断られることが多く、三井リパーク駐車場の空きスペースにコンテナを設置することにしました。受付、採取、検査の3つを設置することで、検査結果報告までの時間を短縮できました。その後現在の場所に2022年の8月に移転しました。

― 設備やスタッフ面での苦労はありませんでしたか？

滝澤　当社の医療福祉事業部は病院等へ医療機器等を納入するのが業務の一つですが、PCR検査に対応する設備設計や使用する検査試薬は専門業者に協力を得ながら決めていきました。また受付システムの構築や受検の同意書を含むホームページの完成にオープン直前まで苦労しました。オープン前には、NSGグループの新潟リハビリテーション病院で検査の流れやシステムなどの注意点をレクチャーしてもらいました。NSGグループの連携でスムーズに行えました。

― コロナの陽性者が出た時はどのように対応していたのですか？

岡村　当PCR検査センターで陽性結果が出た場合、その方を医療機関へつなげるのがミッションです。しかし開店を準備している頃はコロナ患者を受け入れてくれる医療機関はほぼありませんでした。

滝澤　開設にあたり保健所へ何度も足を運び確認した中で、連携医療機関の設置が必須要件としてありましたので、懸命に探しました。結果、NSGグループの中条中央病院と、近隣のクリニックより承諾を頂きました。本当にありがたかったです。その後は新潟県がコロナ陽性者を受け入れる病院を発表したので、陽性者への対応もスムーズになりました。