子どもの将来の可能性が広がるような教育をしたいという思いを持ってNSGへ。
学習塾や専門学校の経験を経て、理想の教育施設を作りたいと考え起業に挑戦。
オランダのイエナプラン教育と日本の寺子屋教育を手本にして、独自の教育スタイル作りに取り組む。
その後、子育て支援・保育事業へ業務を拡大。
スタッフの7割強が現役のママさん。そのアイデアを活かして新規事業を企画中。
風通しの良い環境を作り、自由な発想で仕事を進める。
親も子も輝けるような居場所づくりを目指して…
そんな喜多村さんが考える、人が笑顔になれる環境とは
オランダと日本の教育手法をヒントに起業
起業しようと思ったきっかけはなんですか?
NSGグループに入社して、学習塾では“学びの入口”を、専門学校では“社会への入口”を経験しました。そこで実感したのが、幼少期の学びの重要性です。自我が芽生える時期に、一人ひとりの子どもの可能性をいかに伸ばしてあげられるか。それが子どもの将来に大きな影響があると思い、起業を考えるようになりました。
起業を実現させるために何をしたのですか?
会社に自分の起業案を書いて提出しました。若くてもチャンスをもらえると思ったからです。そしてそれが目に留まり、後日、「こんな事業計画を進めようと考えているのだけれど、やってみないか」と。それは自分が構想していたプランとかなり近いものでした。
具体的にはどのような起業プランだったのですか?
私が当初構想していたものは「習い事の総合教育教室」です。発想のヒントとなったのが、オランダの教育手法で「イエナプラン」。子どもが自ら時間割を作ります。先生は子どもが興味を持ちそうな課題の提示や議論の進行管理を行い、子どもたちの自発的な学びや行動を促します。教えるというより、導き、見守るスタイル。それにより自分で「考える力」や「選択する力」が身に付き、主体性や協調性を持つようになります。また日本の寺子屋のように、好きな場所で、好きな先生から学ぶスタイルにも魅力を感じていました。そんなオランダと日本の学びのスタイルを融合したような教育施設を作りたかった。それが、「夢教室ドリームアドバンス」です。
子どもと育児中のママが輝く施設を
「夢教室ドリームアドバンス」はどんなところですか?
「夢教室ドリームアドバンス」は、ひとつの場所で複数の科目を学べる教室です。現在はそろばん・暗算、書道・硬筆、よみかき、英語、プログラミング、マンガ、華道、折紙など。「小さいうちから、子どもたちがやりたいことを学んでほしい」という思いがあります。
起業当初は大変だったそうですね。
はい、他には無い新しいスタイルの習い事教室でしたので、安定して収益を得るのに時間がかかりました。最初の3年は経営的に厳しかったですね。何度も倒産の危機を感じることもありました。その中で忘れなかったのは「既存のものでやっていくのではなくて、これまでにない新しいものを自分で作ってみたい」という気持ち。苦しみながらも理想を追い続けた結果、生徒も増え、経営が安定してきました。一緒に頑張ってくれたスタッフとともに、あきらめずに続けることで、様々な方々から支援を頂けたこともありがたかったです。
起業後、気づきがあったそうですが。
「夢教室ドリームアドバンス」を始めて分かったのは、小学校より下の幼児教育の大切さや、子どもだけでなく、その子のお母さんのサポートの大切さです。それで、ゆめのき学園(おやこ園、多胎支援事業、学童保育事業)を手掛けました。また、新潟市の指定管理事業として3つの小学校のひまわりクラブ(学童保育)を運営しています。お母さんが安心して子どもを預けられる環境づくりは不可欠。お母さんがキラキラすると、子どももイキイキしますからね。
その分野で活躍していた育児中の現役ママが仲間入りしてくれたことが大きかったです。起業をしなければこの出会いもなかったと思います。彼女をはじめ、スタッフの7割強は現役のママさん。育児を大事にしながら、やりたいことに挑戦してもらっています。「育児中のママが大活躍できる会社」。それがモットーですね。
自由度の高い企業風土、伸び伸びと業務に取り組む
NSGグループに入社しようと思ったきっかけは何ですか?
学生時代に学習塾のアルバイトをしたのですが、生徒が心を開き、勉強に取り組む姿勢が変わる瞬間に立ち会えました。子どもたちの心にスイッチが入る瞬間は感動します。私は学生時代まで何をやるにも決断が遅く、特に進学に関しては中途半端だった。そんな自分自身の経験もあってなのか、子どもの将来の可能性が広がるような教育をしたい、と思い入社しました。
入社前と入社後のイメージで変わったことはありますか?
高知県出身で新潟は就職で初めて訪れたので、当初はNSGグループに対するイメージはありませんでした。入社して学習塾や専門学校で勤務をして感じたことは、自由度の高さ。“やりたいことをやらせてくれる”企業風土がありましたね。それが私にはピッタリの環境で、伸び伸びと仕事に取り組めました。
風通しの良い環境で、社員のアイデアを形に
仕事でどのような時にやりがいを感じますか?
例えば、スタッフがある時「新しい施設を作りたい」と言い出す。すると実現のために有志を集めて会議をしたり、物件を探したり…何かアイデアがあったら、すぐにそれを形にしようと実行に移す。それがやりがいです。また、お母さんたちが自発的に考えたアイデアが形になり、周りのサポートで動き出す瞬間。それも達成感がありますね。
スタッフの方達とのコミュニケーションで心掛けていることは?
“関わらないこと”です。それに尽きます。まだ小さな会社ですが、私が深く関わるのは各部門の責任者だけ。だから私が社長だとわからない方がいるかもしれません(笑)。上から押しつけるのではなく、一人ひとりが考えチャレンジしてみる。そんな自由な空気がないと、良いアイデアは生まれないと思っています。
今後も人の役に立ち、笑顔を広げる施設を
これからチャレンジしたいことは何ですか?
習い事教室は、教室数をさらに増やしたいです。子育て支援・保育事業は、親と子が関われる教育施設を増やしていきたいです。ただの学童保育ではなく、そこで学びを深めたり、親子の絆を深めたりと、付加価値のあるものをプラスして…。それが実現すれば親御さんからも喜ばれると思います。
それは学校のようなものですか?
「困っている子どもが、本当に必要としているものは何か?」「学校に行けない子はなぜ行けないか?」など、それらを解決できるような場所があれば、親御さんも助かるし、子どももイキイキできると思います。そんな施設を作りたいですね。
これから会社をどう発展させたいですか?
売り上げを伸ばすことや施設数を増やすことは、企業を成長・継続させる上で重要な課題です。しかしそれだけが、私の経営ビジョンではありません。加えて、“やりたいことがやれていること”。そして、“人の役に立って、利用者も社員も笑顔でいられること”。それが起業以来の変わらぬ目標ですね。