AIプロダクト開発を通じて 企業の課題解決や意思決定をサポート。

2024.09.12 Thu

新潟人工知能研究所は新潟県内でAIベンチャー企業の先駆けとして設立され、人工知能を活用したプロダクトの開発や企業が保有する様々なデータの解析を通じて、顧客の課題解決や意思決定をサポートしています。

設立の経緯や進行中のAI開発プロジェクト、そのほかの事業内容などを株式会社新潟人工知能研究所 代表取締役 黒田 達也さん、取締役 技術開発部 部長 佐藤 修一さんに伺いました。

黒田 達也さん(左)、佐藤 修一さん(右)

 

地方創生の一環として、新潟のAI技術者の育成を目指して設立。

— 新潟人工知能研究所設立のきっかけを教えてください。

黒田 世界的にAIブームが始まったのは2012年です。その数年後、日本でもブームが起こり、AIエンジニアの資格を持っている人が圧倒的に東京に集中。地方創生を経営理念に据えるNSGグループとしては、このままではAI技術の格差がますます広がることを危惧しました。

 

— その後、どのようなアクションを起こしたのですか。

黒田 まずは新潟コンピュータ専門学校にAIコースを創設することになりました。それにあたってAIについての知識を高めることが必要だったので、当時私が所属していた東京大学工学系研究科技術経営戦略学専攻(TMI)の第一人者を新潟に招いて指導してもらいました。

佐藤 その頃、私は新潟コンピュータ専門学校システム系学科の学科長をしておりました。その先生に月1回ほど新潟に来てもらい、他の教員と共にレクチャーを受けました。そして教員のレベルが高まったところでAIコースをスタートし、その後、私は新潟人工知能研究所に転籍しました。

黒田 当法人の設立は2017年ですが、当初はAI指導者の育成が事業の柱で、彼らが指導した学生がAI技術者として巣立ち、新潟で活躍してもらうことを目的に運営していました。

 

AIの開発、指導者育成、セミナーによる普及活動が事業の三本柱。

— 企業のミッションを教えてください。

黒田 「人と地域と 地球にも寄り添うAI」です。AIによる兵器の開発や環境破壊の危険性、技術者の東京一極集中などさまざまな課題がありますが、その解決を視野に入れながら、新潟の地域の伝統や文化を大切にした「AIと人間の共存」をテーマにしています。

 

— 現在の主な事業の内容を教えてください。

黒田 設立して3年ほどしてからAIプロダクト開発に取り組み始めました。人材育成・教材開発も継続しており、AI関連のセミナー開催とあわせて当法人の事業の三本柱となっています。

佐藤 NSGグループの一員なので、教育には力を入れています。専門学校で毎週授業を担当していますし、セミナーを通してAIの普及を行うなど、人材育成に力を入れているところが一般的なAI企業と異なる点だと思います。セミナーは主に、AIを学生に指導する教員向けの「教育セミナー」と、各業界に合わせた「社会人向けリテラシーセミナー」があります。

黒田 近年、AI開発の依頼が増えてきました。新潟の各業種で先駆的な取り組みをしている企業が、AIを事業に取り入れようと考え始めたからだと思います。

 

企業の課題をAIで解決するため、多くの案件が進行中。

— 主な開発プロジェクトを教えてください。

佐藤 長岡市の建築土木関連企業様からの依頼で、地盤改良の際の杭打ち箇所をAIで算出するシステムを開発しました。これまでは図面を元に、ベテランのスタッフが経験で位置を決めていたそうです。しかし、今後のことを考えてAI化を図ることになりました。そこでAIが過去の施工パターンを学び、図面に落とし込めるようにしました。こちらのシステムは、現在特許出願中です。

 

黒田 この案件をはじめ建設業界からの依頼が多いのですが、それだけ職人の高齢化が進み対応に迫られていると推測されます。熟練の技を経験の少ない若手が引き継ぐのは時間がかかります。その時間をAIで埋められないかという意図もあるようです。また、人手不足の建築業界にとってAIの先進的な取り組みは、新入社員獲得のPRにもなるようです。

— NSGグループの企業とのプロジェクトもありますか。

佐藤 医療・福祉施設や学校の給食を提供している日本フードリンク様から依頼を受け、AIによる献立の自動作成のプロジェクトを進めています。施設別のオーダーに対応して献立を考える作業に多くの時間が掛かるので、その効率化、労働生産性の向上を図るためのものです。ちなみに同プロジェクトは、にいがた産業創造機構のデジタル導入モデルの補助金対象になる、先駆的な取り組みとして認定されています。

 

— 事業創造大学院大学と(株)RYODENとの産学共同研究事業について教えてください。

佐藤 RYODENは多彩な製品を販売する商社ですが、その製品は専門特化しており、知識がないとマニュアルが理解できません。また、製品ごとに各国の言語で記載されている場合もあります。疑問点や問題点があったときに、マニュアルのどこに書いてあるかを探すだけでも大変だということで、AIが質問に答えるシステムを作ろうとなったわけです。ChatGPTに代表される大規模言語モデルの技術を用いた支援システムで、現在共同研究を進めています。

 

ライフスタイルに合わせた働き方で、新潟の生産性向上と地方創生への寄与を目指す。

— コンピュータ業界における働き方が社会課題となっていますが、新潟人工知能研究所の対応策はいかがですか。

黒田 確かにこの業界は、納期に追われ残業続きで心身を病む方も多い…という印象を持たれるかもしれませんが、当法人はライフスタイルに合わせた働き方にこだわっています。私たちの働き方は比較的自由で、全体会議は月に2回しかありません。そのうち1回は月初に会社へ集まって行いますが、2回目はリモートです。その2回の会議で仕事の進捗状況を発表。日々の進捗状況はSlack(ビジネス用チームコミュニケーションアプリ)で共有してもらっています。

佐藤 技術部門は週1日のリモート勤務を認めています。出勤して作業をするとお互い刺激になって新しいアイデアが生まれるときもありますが、1人で集中する時間を作る方が良い時もありますからね。それ以外でも必要に応じてリモート勤務日を設け、働きやすく良いパフォーマンスが出るように努めています。

黒田 そのような取り組みの成果もあり、企業として着実に成長を遂げていると感じます。これからも過去にとらわれず、最適な方法を取り入れる働き方改革にチャレンジしたいですね。

 

— 今後の事業の展望はどのように考えていますか。

佐藤 昨年あたりから明らかに経営者の方々のAIに関する意識も変わってきました。AIが身近に感じられることと人材不足に危機感を感じているのではないでしょうか。これから、年代として人口の多い会社を支えてきたベテラン世代が退職する一方で、若い世代の人口は少ないため、しわ寄せが若手に一気に降りかかる。そこで若手の経験や知恵、知識をAIで補完していこうという「省力化投資」が増えていますね。

黒田 AIを活用して生産性を上げようという動きは、首都圏を中心に活発に行われています。今新潟ではそれに続いて、“小さい蝶々の羽ばたきが少し風になりつつある”という実感があります。そんな追い風に乗られるように、当社ならではの際立った個性を作り上げていきたいですね。

株式会社新潟人工知能研究所

新潟人工知能研究所は、2017年8月にNSGグループの一員として設立されたベンチャー企業です。人工知能を活用したプロダクトの開発や、企業が保有する様々なデータの解析を通じて、顧客の課題解決や意思決定をサポートしています。さらに大学や専門学校などの高等教育機関との連携や、社会人を対象としたセミナーや教材の開発を通じて、AI人材の育成も推進。「人と地域と地球に寄り添うAI技術の活用」をミッションとし、地域社会の生産性向上と地域創生へ寄与することを目指しています。

本社:〒950-0916 新潟県新潟市中央区米山3-1-46 2F
TEL:025-243-4540 / FAX:025-243-4541

東京オフィス:〒105-0012東京都港区芝大門1-1-32 御成門エクセレントビル4F
TEL:03-6450-1075 / FAX:03-6450-1266
https://nai-lab.com

各種リンク