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eスポーツ業界で活躍できる実践的カリキュラムを展開 ― 国際アート&デザイン大学校の挑戦
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国際アート&デザイン大学校 eスポーツビジネス科では、ビジネスの現場で求められるスキルや資格を身に付けるカリキュラムを提供しています。また、座学だけでなく世界的に注目される格闘ゲーム大会「EVO Japan」の運営に生徒が関わるなど、実践的な教育に取り組んでいます。また、学科の就職率は開校以来100%を維持し続け、さらに、eスポーツの国際大会で日本代表として出場し成果を残している学生もいます。
どのような教育方針でカリキュラムを展開しているのか、またeスポーツの地域活性化への可能性などについて、国際アート&デザイン大学校 eスポーツビジネス科 講師 渡邊 惇基さんに伺いました。
他校とは違うアプローチで、eスポーツ業界への人財を育成。
— eスポーツ業界を取り巻く現状について教えてください。
渡邊 日本は「ゲーム大国」として世界的に知られ、多くの人気タイトルが生まれているため、業界はとても盛り上がっています。しかし、eスポーツビジネスにおいては、運営コストの増加や収益モデルの不確実性からマネタイズが難しく、多くの企業が撤退を余儀なくされている状況です。そのようなeスポーツ業界の特性をしっかりと理解しなければ、就職や活躍の場を得ることは難しいと考えています。
— 2020年にeスポーツの学科を創設された経緯を教えてください。
渡邊 eスポーツが急速に成長し、国内外での人気が急上昇していたことが背景にあります。学科の創設当時、多くの専門学校はプレイングに特化したカリキュラムを中心に提供していましたが、当校はそれだけではeスポーツ業界でのキャリア形成に不十分だと考えました。eスポーツは常にゲームタイトルや機材が進化し、その変化に対応するためのランニングコストも発生します。そのため、単にプレイングのスキルだけでなく、柔軟に対応できる思考力や、運営・企画・マーケティングといったビジネススキルも必要です。業界で求められる人材に必要な要素を考え、総合的なスキルを重視した学科の創設に至りました。それが現在のeスポーツビジネス科です。
— 具体的にはどのような教育方針なのですか。
渡邊 当校ではイベントの企画、設営、運営、動画編集、さらには企画書のまとめ方など、ビジネススキルを磨くカリキュラムを重視しています。加えて、Officeソフトの使い方や、ポスター制作、配信に必要なデザインソフトなど、実務に役立つツールの使い方も指導しています。これらのスキルを身に付けることで、eスポーツの現場における即戦力を育成しています。
ビジネス現場を意識したカリキュラムで独自の教育を実施。
— カリキュラムの具体的な内容について教えてください。
渡邊 まず、「企画運営演習」という授業があります。ここでは、イベントの企画から運営までを行うことはもちろん、既存のビジネスモデルを学生たちがリサーチし、その成功要因を分析してプレゼンテーションを行います。eスポーツ業界の課題である「マネタイズの難しさ」を実感し、それをどう解決するかを学生自身で考える授業です。そして、ゼミ形式の授業では、収益を上げるための現実的なビジネス視点を身に付けることを重視しています。
— ゲームプレイングに関する授業はどのように行われていますか。
渡邊 「セルフマネジメント演習」にて、プレイングの手法のみならず、PDCAサイクルを用いて課題を発見し、解決するためのスキルを身に付けてもらっています。例えば、チームを組んで最適な練習方法を提案し、結果を測定し問題点を洗い出すといったプロセスを繰り返すことで、自己管理能力を鍛えます。
学生がeスポーツの国際大会で日本代表として活躍。
— eスポーツビジネス科の学生が国際大会で活躍されたと伺いました。
渡邊 2023年にモンゴル・ウランバートルで開催された第2回東アジアユース競技大会の『THE KING OF FIGHTERS XV』部門に、当校のeスポーツビジネス科2年生である荒井陽希さん(プレイヤー名 :えでぃこ) が日本eスポーツ連合(JeSU)から推薦を受けて日本代表選手として出場し、3位という結果を残しています。この大会は、東アジアの9つの国と地域のユース選手が集まる国際総合競技大会で、eスポーツが初めて正式種目として採用された意義深い大会でした。
— 大会に向けてどのように学生を指導したのですか。
渡邊 私自身もそのゲームタイトルで全国大会ベスト16に入った経験があり、直接指導する体制を整えました。また、プレイヤーとして活動している知人にもコーチングを依頼。こうしたネットワークを活用して、学生たちのスキルをさらに高めることができました。この大会は、新たなeスポーツの時代を切り開く場だったと思います。
イベントの企画運営を通して即戦力を育成。
— eスポーツ大会の運営にも参加されていると伺いましたが、どのような取り組みをされていますか。
渡邊 当学科では年間で約50件のイベントに参加しており、代表的な大会としては「EVO Japan」が挙げられます。これは、アメリカ・ ラスベガスで開催される世界最大の格闘ゲーム大会「Evolution Championship Series(EVO)」の日本版で、来場者数は3万5000人を超える大規模なイベントです。専門学校単位で運営に関わるのは、当校が初めてです。このようなイベントへの参加を通して、会場設営、機材セッティング、試合進行の補助など、運営全般に携わっています。
— どのような目的で参加されているのでしょうか。
渡邊 最終的な目標は、やはり学生たちを即戦力に育て上げることです。そのため、座学だけでは補いきれない実践的なスキルを、実際のイベント運営を通して身につけてもらうことを重視しています。 また、イベントへの参加は経験を積むだけでなく将来に向けたつながりを築く場でもあります。学生たちが実際の現場で、関係者とネットワークを広げることも大きな目的の一つです。
実践的な能力が評価され、学科創設以来、就職率100%を継続。
— イベント運営を通じて学生にどのような変化がありましたか。
渡邊 学生たちに責任感が芽生え、コミュニケーション能力も大きく向上したのを感じています。実際のイベントでは一般の方を相手にするため、学生としてではなく、一人の社会人として振る舞うことが求められます。こうした経験を通じて、学生たちは徐々に社会人としての対人スキルを身に付けていきます。また、個人で積極的にイベントを企画する学生も増えており、この経験が成長に繋がっているようです。
— eスポーツの分野での進路やキャリアについて、具体的にはどのような道があるのでしょうか。
渡邊 まず目指すべきところは、eスポーツのイベント運営会社です。次に、地元に残ってeスポーツを盛り上げ、地域の企業とeスポーツを結びつけていくという目標もあります。eスポーツの普及やイベントの成功を通じて、地域経済の活性化に貢献することも大切だと考えています。
— 就職率も高いと伺いましたが、どのような状況ですか。
渡邊 学科創設以来、就職率は100%です。企業から実際に即戦力として評価していただけているようでうれしいですね。eスポーツに興味を持つ企業や、これからeスポーツ事業を立ち上げたいと考えている企業は増えており、人財の需要はますます高まっていくと考えられます。
eスポーツを通して地域の活性化に貢献したい。
— 地方創生の観点でeスポーツを活用している事例はありますか。
渡邊 これまで認知症予防のための高齢者向けeスポーツイベントを行ってきましたが、地方創生という観点から、今年8月には「ふくしまeスポーツビジネスカップ」の運営に参加しました。この大会は『eスポーツによる「ふくしま」活性化事業』の一環として開催され、福島県内に事業所を置く企業間の交流を促進する場となり、ゲームを楽しむ中で自然とビジネスの話題が生まれる場にもなりました。こうした大会を通じてeスポーツを新たなコミュニケーションツールとして活用し、地域の活性化に貢献できればと考えています。
— FSG高等部との連携も図られているそうですね。
渡邊 当校の卒業生がFSG高等部のeスポーツ専攻の講師を務めており、合同授業やイベントにも参加しています。さらにFSG高等部eスポーツ専攻の卒業生の中には、当校に入学してさらに深い学びを追求している学生もいます。このように、教育現場での知識と経験を共有しながら、地方のeスポーツ教育の発展に寄与していきたいと考えています。
— 今後の目標をお伺いできればと思います。
渡邊 eスポーツに対する正しい認知を広めたいと考えています。現在、まだ娯楽的なイメージが強く残っていますが、eスポーツを社会的に意義のある活動として広く認めてもらいたいと思っています。eスポーツビジネス科での学びを通じて、学生たちがその価値を理解し、自ら発信できる力を身につけることが大切です。彼らが啓蒙活動を行うことで、eスポーツの発展に寄与し、その価値を多くの人に伝えていくことを目指しています。
国際アート&デザイン大学校
国際アート&デザイン大学校はデザイン、エンターテイメント、ペット産業における知識・技術の習得を基に、実社会で活躍できる人材育成を目標としています。具体的には右記の通りです。1. 専門分野における創造力と実践能力の育成 2. 豊かな人間性と礼節を重んじる社会人の育成 3. 建設的な強い意志を持ち行動力にとんだ人間の育成
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