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SDGs推進室の設立で、広がる支援の輪。「フードドライブ活動」を全111施設で展開中。【社会福祉法人愛宕福祉会】
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社会福祉法人愛宕福祉会は、新潟県及び東京都で高齢福祉、障がい福祉、児童福祉施設を111施設で展開しています。持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指し、2022年にSDGs推進室を設立しました。特に、「貧困をなくそう」(目標1)を中心に取り組みを進めており、職員が家庭から食料品などを持ち寄り、社会福祉協議会等を通じて必要な家庭へ届ける「フードドライブ活動」に注力しています。
社会福祉法人愛宕福祉会 SDGs推進室 副室長 斉藤 保則さんに、 SDGs推進室設立の経緯や、フードドライブの活動内容、その意義、今後の展望についてお話を伺いました。
SDGs推進室を設立し、フードドライブを中心に活動を進める。
— SDGs推進室の設立の経緯を教えてください。
斉藤 設立の経緯は、コロナ禍の2022年にさかのぼります。2022年3月まで、私は児童養護施設で勤務しており、コロナ禍での子どもたちの心理的なケアが特に重要だと感じていました。また、一斉休校や自粛の影響で、ひとり親家庭では就労機会の減少により収入が減り、食費が圧迫され外食もままならない状況あるとも聞いていました。そんな中、「全国社会福祉協議会の助成事業」の公募を知りました。全国社会福祉協議会から提供される食糧支援の助成金を活用し、「温かいラーメンを食べて心を満たしてほしい」という思いで応募しました。採択された助成金で、当法人が障がい者就労支援の一環として運営するラーメン店の無料チケットをひとり親世帯やこども食堂の子どもたち、児童養護施設の子どもたち約500名に配布し、店舗にご招待しました。その活動を機に、法人全体でSDGsに取り組む意識がそれまで以上に高まり、本格的に活動を進めるためにSDGs推進室の設立を提案し、同年中の設立に至りました。
— フードドライブ活動を始めたきっかけは?
斉藤 助成金事業でラーメンチケットを配布した際、新潟市北区の社会福祉協議会と連携したことがきっかけです。そこから、ひとり親世帯などを対象に食材を配布する活動「フードパントリー」活動へお誘いを受け参加しました。活動は新潟市北区域の施設長10名で始まり、その後、ひとり親世帯の家庭への食料品や日用品の寄付活動「フードドライブ」活動へと発展しました。
— 現在はフードドライブ活動が全111施設に広がっているそうですね。
斉藤 2023年からは活動地域を広げ、法人全体で取り組む活動に成長しました。各地域の施設長が推進責任者として、市区町村の社会福祉協議会やフードバンクと連携し、活動を進めています。当初は新潟市北区で年1回の実施でしたが、今では年2回に増え、定着した取り組みとなりました。
— どのように法人内で連携を進めているのですか。
斉藤 職員が家庭で余った食品や日用品を持ち寄り、各事業所の施設長がそれらを取りまとめて社会福祉協議会やフードバンクへ届けています。また、物品の配布会には、職員が会場での案内役や配布の手伝いをすることもあります。職員からは「直接参加者から感謝の言葉をいただき、とても感激した」という声が寄せられています。
— 愛宕福祉会がフードドライブへ注力する理由は?
斉藤 フードドライブの活動は職員が趣旨に賛同しやすく、即効性があり、協力を得やすい活動だと思っています。また、食品ロスの解消にもつながりますよね。当法人には約1500名の職員がいるので、一人一品ずつ持ち寄るだけでも多くの品が集まります。これにより、地域の困っている方々への支援がさらに充実し、喜ばれる活動として広がっていけばと考えています。地域社会にSDGsを推進する一つの柱として、フードドライブを続けていきたいですね。
職員の精神がSDGs活動を支える。
— そのほかSDGs推進室が取り組んでいる活動は、何ですか。
斉藤 子ども食堂や新潟医療福祉大学の学生ボランティアへの支援、「あたごカフェ」という認知症高齢者を介護する地域住民の方に集いの場を提供するなど、SDGs目標11「住み続けられるまちづくり」にも取り組んでいます。
— 活動を進める上で配慮していることは何でしょうか。
斉藤 職員の協力の輪を広げていくことです。そのためには、SDGs推進室が活動の目的を職員へしっかりと伝え、自らが一緒にボランティア活動に関わることで、職員に活動の重要性を実感してもらうことがポイントです。また、福祉に関わる仕事に就く身として、これらの活動は人間として成長できる良い機会だと思うので、職員一丸となって進めていきたいですね。
— SDGs活動全体へと一歩踏み出せたのは、何か法人としての強みがあったのでしょうか。
斉藤 当法人がSDGsの活動を推進できたのは、既存のネットワークを活用し、地域の社会福祉協議会との協力体制を築けたからです。また、以前から地域のお助け隊のような活動をしていた事業所もあり、潜在的にボランティア活動に取り組みたい、関わりたいという意識を持つ職員が多かったのではないでしょうか。今後は既存のネットワークの活用のみならず独自の色を出しながら、効果的にSDGs活動を進めていきたいですね。
NSGグループ全体で広げる、SDGs活動の可能性。
— NSGグループ内で他の法人と連携したら、SDGs活動でどのような可能性が広がると考えますか。
斉藤 子ども食堂やひとり親の貧困世帯への支援に注力し、またパラスポーツ支援など夢のある活動ができれば、きっと子どもたちをはじめ、たくさんの方々に喜んでもらえると思います。NSGグループの力を集約して、法人の枠を超えて連携して、そのようなSDGs活動をできればいいですね。NSGグループには多様な事業を展開する法人があり、それぞれがSDGs活動に取り組んでいますよね。例えば、スポーツ体験機会の提供を通じて、経済的な理由で参加が難しい家庭や子どもたちを支援することができるのではないでしょうか。一つひとつ実績を積み重ねた先に、NSGグループのシナジーを生かした大きな連携プロジェクトを実現することも可能だと思います。
— 今後の活動目標を教えてください。
斉藤 これまでは職員が家庭で余った食品を持ち寄り、地域の支援団体に提供する 「フードドライブ」が活動の中心でしたが、これからは食糧支援を必要としている方に直接提供する「フードパントリー」へも注力したいと思います。フードパントリーは、食品を受け取りに来た方々に職員が直接手渡すことができ、より深い交流と支援の実感が得られる点が「フードドライブ」と異なります。多くの職員に参加してもらい、法人内のSDGs活動の機運を高めたいですね。活動に参加した職員には、受け取りに来た方へ直接手渡すことで、ボランティア活動の意義を実感し、より大きなやりがいも感じてもらえればと思います。
— 最後に、これからSDGs活動を考えている方々へメッセージはありますか。
斉藤 SDGsへの取り組みは、小さなことから始めることで少しずつネットワークが広がり、活動も加速します。まずは一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。SDGsは世界の共通課題です。多くの問題がその中に含まれています。みんなで連携しながら共に進んでいきましょう。
社会福祉法人 愛宕福祉会
安心して老いることのできる社会・ノーマライゼーション理念の実現・豊かな人間性の育成を目指し、高齢福祉事業、障がい福祉事業、児童福祉事業を展開。利用者一人ひとりのかけがえのない笑顔と思いを大切に、安心した生活が送られるよう支援を行い、家族・地域の方々から信頼される社会福祉法人を目指します。
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