歴史ある同人誌展示即売会「ガタケット」を台湾で開催。 新潟発のマンガ・アニメの日本国内外への発信にチャレンジ!

2024.10.24 Thu

「ガタケット」は、主に新潟県で開催されている同人誌展示即売会で、1983年の初開催以来、40年以上にわたり続いています。この「ガタケット」を運営しているのは、イベント名と同じ名称の株式会社ガタケットです。9月には初の海外開催となる「GATAKET SPECIAL in 台湾 featuring JAM」を開催し、NSGグループの専門学校「JAM 日本アニメ・マンガ専門学校」の学生が出展クリエイターとして参加しました。

どのような経緯で台湾でのイベントを開催したのか、最近取り組んでいるプロジェクト、今後の課題や目標などについて、株式会社ガタケット 代表取締役 高橋 大介さんに伺いました。

専門学校とタイアップして「ガタケット」を台湾で初開催。

ー 「ガタケットスペシャルin台湾」はどのような経緯で実施しましたか。

高橋 全国同人誌即売会連絡会という組織があり、弊社を含め同人誌即売会を主催する団体が情報交換などを行うつながりがあります。その中の博麗神社例大祭社務所という団体とは以前から良い関係を構築していました。そしてその博麗神社例大祭社務所が主催する、東方Project作品オンリーの同人誌即売会「博麗神社例大祭」を、コロナ渦を経て5年ぶりに台湾で開催すると聞きました。元々、弊社がコロナウイルスの影響で中断していた「ガタケット」を2022年に再開する際に、博麗神社例大祭社務所に大きなお力添えをいただいていました。博麗神社例大祭社務所へその恩返しをしたい、また、海外でのイベント展開の可能性を探るテストマーケティングをしたいと以前から考えていました。そのような中で、台湾での「博麗神社例大祭」開催を聞いたこともあり、ぜひ「博麗神社例大祭」の企画・運営に協力させていただけないかと相談したところ、快諾いただき今回の開催が実現しました。


ー 日本アニメ・マンガ専門学校(以後、JAM)の協力を得た経緯は?

高橋 台湾での「ガタケット」開催は初めてでしたので、出展者を集めることが課題でした。そんなときに、同じNSGグループのJAMがコロナ渦前まで行っていた学生の海外研修が復活すると聞き、学生による出展を依頼したところ引き受けていただけました。JAMは以前、海外研修として台湾で一次創作の即売会を行っていたことがあるそうです。こうして今回、弊社、博麗神社例大祭社務所、JAMがそれぞれwin-winの関係で企画を実現することが出来ました。

ー 初めての海外開催で苦労した点はありますか。

高橋 会場の手配や設置は、博麗神社例大祭社務所が行いました。告知は弊社だけでは言語の違いという課題があり、また、SNSによる告知を台湾の方々に届けることが困難でしたが、博麗神社例大祭社務所が協力してくださったので、準備はスムーズに進みました。そのおかげで、来場者が1日で3,500人にもなりました。JAMの学生は130名程が参加して、同人誌やキーホルダー、ポストカードなどを頒布しました。JAMの学生の中には作品を全て頒布しきった出展者もいて、自信にもつながったと思います。
ー 今後の海外での展開についての展望はいかがでしょうか。

高橋 台湾での「ガタケット」開催を通じて台湾の大学教授と知り合い、JAMと台湾の大学が合同で、学生同士での即売会などを新潟で開催できたら面白いという話が出ました。台湾での「ガタケット」開催の経験を活かし、引き続き海外市場への可能性を広げる機会を発掘していきたいと考えています。

東京の法人と連携して同人誌即売会、さらにはアニメ・マンガ文化を盛り上げたい。

ー ガタケットを取り巻く環境はどのように変化していますか。

高橋 参加者層が変わり、近年では7割近くが女性で、特に若い世代が増えています。これは、東京の法人と協力し、東京で行っている企画を「ガタケット」でも行うことで、新潟県内外の若い世代を呼び込んできた成果だと考えています。東京のイベントには移動が大変で行けない方が、新潟の「ガタケット」に参加することでその楽しさを知り、今度は東京の同人誌即売会にも参加する。東京と新潟のどちらもwin-winになるという循環ができつつあります。この流れは今後も継続させていきたいですね。

ー 親子で参加される方も多いみたいですね。

高橋 はい。親世代が若い頃からコスプレやオタク文化を楽しんでおり、今では子どもと一緒にイベントに参加するケースが増えています。新潟県民にとっては東京での同人誌即売会とは異なり、「ガタケット」であれば移動の負担なども少ないため気軽に参加できますし、大混雑することなくゆっくりと楽しめます。そのため、親子での参加に適していると思います。

 

新潟から日本国内外へのアニメ・マンガ作品の発信を目指し、若手作家を発掘・育成。

ー 他には近年どのようなプロジェクトを進めていますか。

高橋 2023年に「TOKIFUDE(トキフデ)」をスタートさせました。これは、作家の作風や世界観にマッチした仕事を紹介したり、スケジュールを管理したりすることで、若手作家の制作活動をサポートするものです。当初は出版社から依頼を受けて、出版社が権利を持っている作品、例えば小説などの原作付きのものをマンガにしたいという依頼を受けて、作家をアサインして一緒に連載を進めていく形でした。最近では、弊社が一次創作となる原作を開発し、それをもとにクライアントと共同で作品を作り上げ、連載を進めていく形が作られつつあります。

ー こうした取り組みを進めることができた理由は何だと思いますか。

高橋 JAMをはじめとした専門学校との協力体制が理由として挙げられます。現在、アニメ・マンガ業界はクリエイターの発掘と育成が課題となっており、作りたい作品があってもその制作に適した人材を見つけることが困難です。その解決策の一助として、弊社はJAMをはじめとした専門学校と連携し、デビュー前の才能ある学生を見つけてマンガ制作の一部を仕事として請け負ってもらっています。専門学校とも密に連携しているガタケットは、すでにマンガを描いている方の中から人材を発掘することができ、それが他の出版社と差別化が図れる大きな違いだと思います。「ガタケット」のイベントでもそうですが、これからもNSGグループ内外問わずに、つながりを大切にしていきたいですね。

ー 今後の事業展開やチャレンジしたいことは何ですか。

高橋 今回台湾での「ガタケット」開催を通じてつながりを持てた方々とのご縁を大切にし、今後の海外市場への可能性を模索していきたいです。そして若手クリエーターの発掘・育成に引き続き取り組み、独自のコンテンツを生み出すことのできる環境を整えたいと思います。新潟を代表する一次創作の開発に力を入れ、新潟発の新潟を舞台にした作品を発信することが目標です。自社IPとして大きく展開できる作品作りに挑戦したいですね。

 

株式会社ガタケット

同人誌展示即売会「ガタケット」は2023年1月で開催40周年を迎えました。ガタケットはプロ及びアマチュア作家達が自己表現としての作品を持ち寄り集まるイベントです。これからもプロアマを問わない作品発表の場としての役割を続けて行きたいと思います。また、マンガ・イラスト制作ブランド「TOKIFUDE」は出版社からのマンガ制作の依頼受注や企業からの事業紹介用マンガ、イメージキャラクターの制作をしており、クリエイターとクライアントのコーディネートや作品のクオリティコントロールを行っています。新たなクリエイターの発掘や育成にも力を入れ、さまざまなコンテンツを生み出していきます。

新潟市中央区西堀通3番町791番地
TEL:025-228-8718 / FAX:025-201-8113
https://gataket.com

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