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地球全体の共通課題であるカーボンニュートラルを目指し、 CO₂排出量の可視化システムの提供を開始。
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温室効果ガスの排出をゼロにする「カーボンニュートラル」を目指す取り組みが、さまざまな分野で進められています。NSGグループでも、その実現に向けて法人向け小売電力事業を展開する新電力新潟株式会社が、中小企業の脱炭素経営を支援するクラウドサービス「Carbon Vision」の提供を開始しました。
「Carbon Vision」の開発経緯やシステムのこだわり、そして今後の課題や展望について、新電力新潟株式会社 エネルギー事業部 シニアマネージャーの吉澤 洋さんと、同事業部で「Carbon Vision」の開発責任者を務める根岸 優太さんにお話を伺いました。
時代のニーズに対応して、CO₂排出量の可視化システムを開発。
— 「Carbon Vision」開発の背景について教えてください。
吉澤 新電力新潟は、一般家庭やビル、工場などに電気を販売する経済産業省認可の「小売電気事業者」です。私たちは、小売電気事業者として毎年CO₂排出係数を報告する義務があります。カーボンニュートラルへの取り組みは企業にとって重要な課題でありましたが、2021年に参加した展示会で、CO₂排出削減に真剣に取り組んでいる企業が増えていると感じました。今後CO₂排出削減への対策に事業機会を見いだせると確信しました。そこで、CO₂排出量の可視化システムに目を付け、当社で開発し、地球全体の共通課題に貢献しようと考えたことが、「Carbon Vision」開発に取り組むきっかけとなりました。
— 実際のシステム開発は、どのように進めたのでしょうか。
吉澤 「CO₂排出量を『見える化』するサービス」の開発にあたり、まず、NSGグループの(株)LEApassにシステムのディレクションを依頼し、要件定義やプロジェクトの全体設計を担当してもらいました。LEApassとは、私たちが目指す機能やユーザーインターフェースについて具体的なビジョンを共有し、サービスの方向性を固めていきました。
その後、新潟県内のソフトウェア開発会社に、実際のプログラミングやシステム構築を依頼しました。こうして、新潟の企業だけで「Carbon Vision」というクラウドサービスを完成させることができたのです。
中小企業でも取り組めるように、手頃な価格設定と使いやすさを追求。
— 開発を進めていく中で、どのような課題がありましたか。
根岸 一番の課題は「競争と差別化」でした。単にシステムを作るだけでは不十分で、他の競合サービスとの明確な違いを打ち出す必要がありました。ポイントは2つあり、まずはリーズナブルな価格で提供すること、そしてコンサルティングに力を入れることです。中小企業では専門知識を持つ社員が少なく、どこから取り組むべきか分からないことが多いため、CO₂の見える化から削減までをトータルでサポートする方針を打ち出しました。
吉澤 開発に際して競合のシステムを調査しましたが、ほとんどが大企業向けで、導入にはかなりのコストがかかっていました。そこで、私たちは月額2万円(税別)という手頃な価格設定を行いました。CO₂削減が国際的に重要視されているにもかかわらず、多くの中小企業はこうした取り組みを進める余裕がないのが現状でした。私たちは「Carbon Vision」を通じて、そのような社会的課題を解決したいと考えています。
— 「Carbon Vision」の特徴を教えてください。
根岸 手頃な価格設定に加え、使いやすさも追求しました。CO₂排出量は、スコープ1(自社での直接排出)、スコープ2(購入したエネルギーの使用に伴う間接排出)、スコープ3(事業活動に関連した他社の排出)に分類されますが、特にスコープ3は対象範囲が広く、計算が複雑です。そこで、専門知識がなくても、ウェブサイト上で簡単に数値を入力するだけでCO₂排出量を算出できるよう、ユーザーインターフェースを工夫しました。
導入しやすく、環境対策のアピールも可能に。
— 中小企業のCO₂削減はどのように対応しますか?
根岸 「Carbon Vision」は、CO₂削減を実現するためのプラットフォームとして機能することを目指しています。具体的には、環境省認定の脱炭素アドバイザーが、企業ごとに適した削減提案や施策を提供し、また必要に応じて関連するツールやサービスを提案しており、総合的な支援体制を整えていきます。これにより、中小企業が持続可能な形で脱炭素に取り組む環境を提供します。
— 具体的にはどのようなソリューションをお考えですか。
根岸 例えば、私たち自身が提供する太陽光発電システムや電力使用量の監視システム、EV車の導入支援などがあります。さらに、環境に関するセミナーの開催も予定しており、より幅広いサポートを提供する予定です。
— 実際にご利用いただいているお客様の反応はいかがですか。
根岸 導入されたお客様からは「入力が簡単で直感的に使える」という評価をいただいています。また、私たちのサービスでは、毎月無料でCO₂排出量のレポートを提供しており、これを企業のホームページに掲載することで、外部へのアピールに役立てていただいています。
吉澤 CO₂排出量を「見える化」する取り組みを通じて、電力契約だけに留まらず、脱炭素経営のパートナーとしてお客様との関係がより強固なものになっています。また、環境対策を行う企業は人材募集においてもメリットがあり、特に若年層からの関心が高まっています。
法制化が進み中小企業でも脱炭素への取り組みが急務に。
— 中小企業にとって排出量の見える化の最大の利点は何でしょうか。
根岸 ビジネスチャンスを失わないことです。大企業がCO₂排出量の見える化や削減を進める中で、その取引先である中小企業も排出量の把握が必要となってきます。中小企業も脱炭素経営に取り組まなければ、将来的に取引の選択肢が狭まるリスクがあります。法整備が進む前の早めの対応が重要ですね。
吉澤 特に輸出を手掛ける企業には早急な対応が求められます。国際的にSDGsへの対応が取引条件となりつつあるため、脱炭素経営は後回しにできない課題といえるでしょう。
— 小売電気事業とどのように関わってくるのでしょうか。
吉澤 小売電気事業でも環境改善が重要なセールスポイントであり、「Carbon Vision」のテーマと一致しています。これらの施策を同時に進めることで、企業のイメージアップや事業成長に大きく貢献することを目指しています。
「Carbon Vision」を通して、企業の環境意識の向上を促進したい。
— 今後の課題について、どのようにお考えですか。
根岸 中小企業も、すでに脱炭素経営の必要性を認識しているケースが増えています。ただ、どこから着手すべきか、具体的なアクションが不明確な企業も多いのが現状です。そのため、我々は「Carbon Vision」を通じて、導入のハードルを下げ、シンプルで効果的な方法を提供することを目指しています。
吉澤 今後の課題は、こうした企業に「Carbon Vision」の価値をどう伝えるかです。システムには自信がありますが、そのメリットや導入後の成果を、より多くの企業に理解してもらうことが重要です。県内外のイベントや展示会を活用し、導入事例などを共有していきたいと考えています。
— 「Carbon Vision」の未来像についてお聞かせください。
吉澤 新潟を拠点に、全国の中小企業がビジネスチャンスを逃さないために、「Carbon Vision」を通じてCO₂排出量削減の取り組みをサポートしていきたいと考えています。最終的にはCO₂排出量の可視化と削減プロセスを効率化し、企業の成長とサービス向上に大きく貢献することを目指しています。また、企業における環境意識の向上も促進できれば。地域全体でのエネルギー事業に対する意識改革が進み、再生可能エネルギーの普及拡大にもつながることを期待しています。
根岸 「Carbon Vision」を脱炭素経営のプラットフォームとして育てていきたいと思っています。今はCO₂排出量の見える化が主な機能ですが、将来的には「脱炭素経営と言えば『Carbon Vision』」と最初に思い浮かべてもらえるようになりたいです。そして、全国の皆さんとともに、カーボンニュートラルを目指したいと思います。
新潟新電力株式会社
小売電気事業、電源開発事業、環境付加価値サービス事業、環境エネルギーコンサルティング事業を展開している新潟県と福島県に根差した電力会社。地域の特性を活かしながら、お客様の電気料金を削減し、新たな利益創出のお手伝いをしています。また、地域の資源を活用してエネルギーの地産地消を進め、活気あふれる街づくりや永続的な循環型経済の構築にも貢献しています。
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