「人が財産」という考え方で人事制度を充実。 働きやすい職場で地域に質の高い福祉サービスを提供。

2024.12.05 Thu

上越市・妙高市で30を超える福祉関連の事業所を運営する社会福祉法人 上越あたご福祉会には、「人が財産」という考え方のもと、職員一人ひとりの可能性、志向、キャリアパスを実現するための人事制度があり、未経験から入職する方が働きやすく、総合職としても専門職としても成長できる学びの機会が多くあります。

どのような人事制度を構築・運用しているのか、具体的な制度の内容、職員はどのように活用しているか、制度が職員にもたらす効果などについて、社会福祉法人 上越あたご福祉会 人事部 吉田 侑香さんにお話を伺いました。


年代・経験・専門分野に応じた研修を実施し、個人と組織全体の質の向上に努める。

― 研修制度について教えてください。

吉田 当法人では職員の資質向上を目指して、新入職員、中堅職員、管理職を対象とした階層別の研修や、チームリーダーを対象とした研修などを人事部主導で行っています。また、『資質向上委員会』という各専門分野に分かれた委員会を設置しています。専門分野(介護職、看護職、相談支援員、介護支援専門員、機能訓練指導員、管理栄養士、事務職)ごとに職員が分かれ、ディスカッションなどを通して業務上の課題をとらえ、解決策を練り、業務改善を図るボトムアップ型の委員会です。
こうすることで、各職員が自分の役割に必要なスキルを磨きながら、組織全体の質の向上に貢献し、ひいては質の高い福祉サービスを提供できるよう努めています。


― 『資質向上委員会』ではどのように改善策・解決策を検討していますか。

吉田 年度初めにその年の目標を設定し、具体的な改善策・解決策を検討しています。また、職員が日々の業務の中で不安が生じた際には、定期的に開く委員会で情報を共有し、改善策・解決策を練っています。例えば、「介助の際に腰痛が気になる」という職員からの声を受け、機能訓練指導員が職員向けに腰痛予防の講習会を開催しました。

 

― その他の研修についてもお聞かせください。

吉田 新入職員研修は4日間の集合研修の形で行っており、資質向上委員会のメンバーを中心に講師を務めています。 新入職員が基本的な技術や知識を習得できるよう支援し、先輩職員から現場の生の声を聞く機会を設けることで、リアルな学びが得られる内容となっています。


― 中堅職員向けの研修にも注力しているようですね。

吉田 はい。今年度は私も参加したのですが、PDCAサイクルを介した業務改善の方法や、上司・部下の間をつなぐコミュニケーション力の向上などに焦点を当てた研修を行っています。これらのことを通して、自身が所属する組織・事業所の改善に主体的に取り組む意識を育てることと、職場内コミュニケーションの更なる円滑化が大きな目的です。

 

― チームリーダーを対象とした研修はどのようなものですか。

吉田 今年の6月から「チームリーダー育成プログラム」としてスタートしました。これは現場のユニットリーダーを対象に、2年間かけて月1回のペースで行います。今年度の目標は、『自律的にリーダーシップを発揮できる人財の育成』です。組織マネジメント、職場環境の改善、部下育成などをテーマに、基礎から応用まで学ぶこの研修を通して、法人全体を盛り上げてもらいたいと考えています。

 

働き方を選択できる制度が、働きやすさとモチベーションの向上に。

― 職群選択制度も導入しているそうですね。

吉田 はい。職群選択制度を導入した背景には、職員のキャリアデザインやライフスタイルに応じた柔軟な働き方を提供することで、職場全体の働きやすさを向上させたいという想いがありました。また、多様な職務能力の開発・向上に取り組むことができるよう制度設計したことで、経験や特性を最大限に生かし、職員がよりやりがいを持って働ける環境を目指しています。


― どのような働き方の選択ができるのですか。

吉田 総合職、専門職、ライフイベント職の3つの職群から選択可能です。総合職は、将来マネジメント職を目指す方が選ぶもので、総合職として様々な業務経験を積むことができます。専門職は専門性を高めたい方に適しています。例えば、看護職や介護職、相談員などがこれに該当します。そしてライフイベント職は、その名の通り、出産や育児、介護、病気といったライフイベントに応じて、柔軟に多様な働き方を選べるようになっています。

 

― ライフイベント職を選択する理由としては何が多いですか。

吉田 やはり育児が一番多いですね。高齢者向けの事業所になると、365日24時間の支援が必要な業務のため交代勤務が基本ですが、育児中の職員は夜勤や日曜勤務、早番勤務などの免除や調整が可能です。また、一般的にはお子さんが3歳になるまで時短勤務が可能で、法律上もそのように定められています。ですが、当法人は小学校入学時まで1日最大2時間の時短勤務を利用できるようにしており、当法人への転職理由の一つに挙げる職員も多くなっています。私も子どもが産まれたときに、ライフイベント職を選択して時短勤務をさせてもらいましたが、ありがたい制度だと実感しました。そのほか、介護やお子さんの看病のために選ばれる方もいらっしゃいます。


職場全体で子育てをサポートする組織風土が特徴。

― 産休育休を取得しやすい雰囲気があるとお聞きしましたが。

吉田 はい。当法人には職場全体で育児を支援しようとする風土があります。例えば私は出産祝いに当法人からオムツを箱でいただいたのですが、たくさんの職員が「出産がんばれ」「育児を頑張って」などと寄せ書きしてくれました。子育ての先輩たちがいるので、大変心強いです。

 

― 育児休暇の取得率について教えてください。

吉田 2023年度は女性6名、男性3名が申請し、育児休暇取得率は男女ともに100%、今年度は男女合わせて15名中14名が取得予定です。育児休暇取得が当たり前の環境が整っていることは、法人の魅力の一つだと思います。


制度を整えて、働きやすい職場環境を醸成する。

― 人財採用のための独自の制度はありますか。

吉田 「おかえりなさい制度」という独自の制度を設けています。 これは、家族の介護や転勤などで退職された方が復職しやすいよう、以前の給与水準を維持する制度です。これまでにも、生活環境が変わり復職された方が少なくありませんでしたので、正式に制度化しました。結果として、この制度を利用して復職された方が即戦力として現場で活躍しています。

 

― 人事制度の充実に対する職員の反応は。

吉田 働き方の選択肢が増えたことで、ワークライフバランスを取りながら働ける環境が整ってきたという声を聞きます。例えば、子育てと仕事を両立してきた女性管理職から、今の人事制度を『すごくいい制度だね』と言ってもらいました。

 

今後も職員に寄り添った支援で、地域に質の高い福祉サービスを提供。

― 人事部としての課題は何ですか。

吉田 人財の安定確保です。そのために、他の業種・業界からも挑戦しやすい制度作りや、雰囲気作り、『ここで働きたい』と思ってもらえるような施策を実行しています。具体的には資格取得の費用負担や、介護福祉士の実務者研修を事業所で開講するなど、積極的に資格取得を支援しています。実際に、40代から福祉の仕事を始めた方が、介護福祉士の資格に挑戦しているところです。


― 今後の展望や抱負をお聞かせください。

吉田 上越あたご福祉会らしく、職員に寄り添った支援を提供できるよう取り組んでいきます。また、地域の方々から『歳をとったら上越あたご福祉会でお世話になるから安心』と言ってもらっています。このような声に応えるためにも、これからも地域の方にとって身近で安心できる存在であり続けたいと思っています。また、障がい者支援事業や保育事業にも取り組んでいるので、「福祉なら上越あたご福祉会だね」と認識してもらえるようがんばりたいですね。

 

 

社会福祉法人 上越あたご福祉会

上越市・妙高市にて30を超える事業所を運営しています。事業内容は特別養護老人ホーム、デイサービスセンターなどの高齢者向け介護福祉サービス、障がい者向けの福祉サービス、そして保育園と幅広く展開しています。ご利用者の方々に「ここを利用して良かった」、職員に「ここで働いて良かった」と思っていただける法人を目指しています。

〒943-0316 新潟県上越市三和区井ノ口1718番地4
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