商社が地域の課題解決をサポート！リユースカップ導入でゴミ・CO2削減

2023.07.03 Mon

事業領域
ビジネスソリューション

愛宕商事株式会社は、地域に根ざした商社として新規事業を立ち上げ、地域の課題解決に取り組んでいます。その一例として、「アルビレックス新潟がホームゲームのゴミ・CO2削減のために取り組むリユースカップ」に、同社がどのようにその課題に取り組み、解決に寄与してきたのか。

愛宕商事株式会社ビジネスソリューション事業部吉澤　洋さんと二見優水さんに伺いました。

スタジアムのゴミの削減策の一つとして「リユースカップ」を提案。

― スタジアムでの観客増加に伴うゴミ増加の問題があったそうですね？

吉澤はい。2001年に新潟スタジアム（現：デンカビッグスワンスタジアム）が開設され、そこで試合を開催するアルビレックス新潟の観客数も急増。それに伴い、ゴミの処理に関わる問題が発生しました。そこでクラブスタッフ、ボランティア、サポーター、企業などの有志が集まり、ゴミ処理問題を解決するためのプロジェクトがスタート。そのプロジェクトが調査した結果、1試合で最大約8トンのゴミが排出されており、解決が急務でした。

― なぜリユースカップを提案することになったのですか？

吉澤 2003年からゴミ削減を目指した「3R活動」が動き出し、まずは手始めにReduce（持ち込んだごみは持って帰ってもらう）「オモチカエリ運動」を行い、次に2004年からRecycle（ゴミの分別回収）に着手。そして2005年よりアルコール飲料の紙コップの代わりに、当社が提案したデポジット制（販売時にカップの預かり金として100円を上乗せして販売し、回収時にお客さまに100円を返却）のリユースカップの導入が決まりました。リユースカップはポリプロピレン製の繰り返し使用可能なカップで、環境大国のドイツでは既に多くのサッカー場で取り入れていたものです。当社ではこれにいち早く着目し、クラブに提案して採用いただきました。

― リユースカップの導入にあたって苦労したことはありましたか？

吉澤リユースカップは40回以上洗浄して使うことができますが、問題はどこで洗浄するか。専用の設備がないと難しいのです。その業務を請け負ってくれたのが、新潟ガラスリサイクルセンター（株）様でした。専用の食器洗浄機を導入し、リユースカップのプロジェクトに参画してもらっています。カップに傷があると再利用できないので、一個一個丁寧にチェックしています。導入当初は、複数のクラブが利用していましたが、今ではアルビレックス新潟と、もう1チームだけ。継続するにはコストが大きな課題となりますが、導入当社から株式会社ハードオフコーポレーションさんがクラブのエコロジーパートナーとして、運用を手厚くサポートしてくれています。趣旨を理解してカップを返却するサポーターの皆さんのご協力もあり、効果が出ていますし、継続してきて良かったと思っています。

サポーターに浸透し、大幅にゴミとCO2の削減に成功。

― リユースカップによってどのような効果がありましたか？

吉澤アルビレックス新潟が2005年にリユースカップを導入して17年間で182万杯以上の紙コップを削減。CO2に換算して約335トン、紙ゴミに換算して約31トン削減できました。これは継続的で、効果の検証をしっかり行っている日本最大のリユース活動と言われています。2014年には実績が評価され、アルビレックス新潟が「地域環境保全功労者表彰」を受賞しました。これもひとえに、積極的に利用していただいたサポーターの皆さまのおかげだと思います。

出典：愛宕商事㈱ビジネスソリューション事業部

― 導入当初と比べ、サポーターの方々の意識も変わってきたのでは？

吉澤リユースカップの平均回収率は約98％。導入している他のスタジアムと比較しても高い数値となっています。ゴミの排出量も、総量で4分の1以下になっており、エコ・リサイクルの意識は、サポーターの皆さんに浸透しています。スタジアムで高まった環境に対する意識が、実社会の中でも広がっていけば嬉しいですね。またリユースカップを別のスポーツやイベントなど、多くのシーンで活用してもらえるように取り組んでいきます。

― リユースカップを運営する上で、今後の課題はありますでしょうか？

二見リユースカップは洗浄して繰り返し使ううちに傷が付き、約5年で順次入れ替えてきました。そろそろその時期が来ています。現在はポリプロピレン製ですが、次に代えるとしたら、エコな素材がベストだと考えています。さらに地球環境に良いリユースカップを提案できればと考えています。