- 事業領域
- 食
“新潟のためになる仕事”をしたいと
新潟の地酒にこだわり通販事業を展開する株式会社 幻の酒に入社。
商品の受注・梱包、WEBサイトの更新などに取り組む。
入社5年後、関連会社に出向し代表取締役に就任。
その後、2020年に幻の酒の2代目代表に抜擢。
海外への業務拡充を図り、企業としての販路拡大に取り組む。
経営者として歩むなかで、初心だけは忘れない。
そんな挑戦意欲旺盛の奥村さんが切り開く、次の世界とは?
幻の酒の2代目社長に就任し、業務の拡大とスリム化に取り組む。
企業のトップに就任して、戸惑うことはありませんでしたか?
「自分の個性を発揮して会社を運営してほしい」。先代は創業社長でしたが、そのような考えを伝えられ、社長の座を引き継ぎました。その前に関連会社の代表を務めた経験があるので、それほど戸惑うことはなかったですね。また、就任時はコロナ禍で社会全体としては厳しい状況にありましたが、通販業界は全般的に業績が良好という状況の中でのスタートでした。
まず取り組んだことはなんですか?
就任して3ヶ月ほどした頃、改善点が見えてきました。まず決断したのが自社通販サイトの縮小でした。楽天やAmazonなど大手通販サイトに集約することで、経費の削減、業務のスリム化を図るという選択です。社員時代は利益率の最も高い自社サイトを優先するのが当たり前だと信じて疑問に思う事がありませんでしたが、俯瞰して眺めると当社のその時の状況においてはそれが最適解だと考えたからです。高いところから全体を見ることの大切さをあらためて学びました。
仕事をする上での指針は?
会社の指針にもしているのが、二宮尊徳の言葉で「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である」です。これを当社に業務に落とし込んでみると、『お客さまが喜ぶサービスをすることは大切だが、利益を生み出し会社を健全に運営することも大切』。“お客様のために”という思いは魔法の言葉で、仕事の域を超えて過剰にオーダーに応えてしまうことがあります。逆に、利益をどこまでも追求するとお客さんを不幸にしてしまう判断をしてしまうかもしれない、それでは企業は継続していけません 。お客様が喜ぶサービスと企業が将来的に継続し発展していくために必要な利益を両立させる線をどこで引くかを見極めることが重要と思っています。
付加価値の高い「贈り物の酒」の販売を目指す。
日本酒を販売する上のこだわりは?
全国でみる日本酒製造の割合は、特定名称酒と呼ばれる吟醸酒が5%、純米酒が5%、本醸造酒が15%となり、あとの75%は一般酒(普通酒)が占めています。当社では、その特定名称酒の中から「吟醸酒」と「純米酒」にこだわり、さらに新潟の地酒のみを販売。純米酒は全品蔵元から直接仕入れています。
オリジナルの日本酒も造られたそうですね。
はい。酒業界では誰も挑んでこなかった「棚田の極上のクラシックコシヒカリ」でお酒を作るという、高い技術を必要とする、まさに“幻の酒”を誕生させました。地域の豊かな水、農家さんの惜しみない努力と支援、3つの酒蔵の技で、想像以上の最高に美味しい酒に仕上がりました。今後も当社にしかできない商品企画を進めたいですね。
「贈り物の酒」販売をして良かったと思うのはどのような時ですか?
当社のメイン商品の一つは、還暦や結婚などに贈る名入れラベルのお酒ですが、お客さまから「還暦のお祝いにプレゼントしたら、ラベルを見た瞬間気持ちが伝わったのか、涙を浮かべて喜んでくれました。本当にありがとうございます」というお電話をいただくことがあります。社員が嬉しそうにお客さまと話している姿を見ると、この仕事をしていて良かったなと思いますね。
海外への販路拡充など、販路拡大に取り組む。
海外に向けたECにも積極的に取り組んでいますね?
はい 。しかし障壁があって、例えば香港やシンガポールなど、日本酒市場がある程度出来上がっている地域では 、すでに酒蔵と輸入業者が専属契約しているケースがあり、当社がその国ではその酒蔵の商品を取り扱うことができないことが多くあります。しかし、世界をマーケットと考えると販売先は無数にあり、まだまだチャンスにあふれている。そうして新潟の日本酒をアピールすることで、世界中から新潟が愛されるようになると良いなと思います。
最近、自社の海外向けのサイトを開設しました。国により商品の購入・発送などで課題が出てくることもあるので、一つずつ乗り越えながら販路拡大を図っているところです。
NSGグループの企業との連携はありますか?
障がいのある方の働く機会を支援する(株)NSGソシアルサポートと連携し、障がいのある方に当社で活躍してもらう予定で、今その準備を進めているところです。また農業法人との連携も視野に入れています。同じグループでコラボレーションできれば、得意分野のパワーを掛け合わせることで新しい世界が開けるかもしれませんね。
これからも「新潟のためになる仕事」にチャレンジ。
これから進めていきたい挑戦はありますか?
そもそもこの会社に入社したのは「新潟のためになる仕事がしたい」という理由からでした。だからお酒やお米を通じて、新潟のためになることを形にしたい。現在、酒蔵や農家さんは変化を迫られているので、例えば新潟の農家さんの田んぼを守る仕組みを作り、その田んぼで生産した酒米で造った酒を海外で販売できれば…。コスト面で課題もありますが、ぜひ前向きにチャレンジしたいですね。
耕作放棄地を蘇らせるプロジェクトもその一つですか?
そうですね。先ほど話をしました 「幻の酒」の米を栽培している場所は、機械の入れない棚田です。平地の水田に比べ労力が2倍必要で、生産量は2分の1といわれるほど生産性においては難がある田んぼで、担い手が減少し耕作を行えなくなるケースも増えています。一度お米づくりをやめてしまった田んぼは数年放置されてしまうとお米づくりを再開するのが困難となってしまいます。私たちは酒屋ができる耕作放棄地保全活動として、「幻の酒」の酒造りに棚田で生産したお米を活用し、清らかな川や美しい棚田を守っていく取り組みを進めていきたいですね。。
- 事業領域
- 食
- キーワード
- #地域と共に
- #経営・マネジメント