福祉の現場経験を生かし人事へ。子育てと両立し人財育成の新たな道を切り開く。

社会福祉法人 愛宕福祉会 / 古川 仁美
2025.12.18 Thu
PROFILE
古川 仁美
社会福祉法人 愛宕福祉会 法人本部事務局 人事部
新潟県上越市出身。「地元に貢献したい」という想いから、2007年に新卒で上越あたご福祉会へ入職。新規開設の特別養護老人ホーム「上吉野愛宕の園」でキャリアをスタートする。2015年、結婚を機に新潟市へ転居し、愛宕福祉会に転籍。特別養護老人ホームでの事務担当をはじめ、障がい者就労支援B型事業所では事務と職業指導員を兼務し、また児童分野ではこども園の事務員として開設準備より業務に携わる。二度の出産と育児休暇を経て、現在は法人本部 人事部に所属。
高校時代に福祉の道を志し、福祉の学びを深めるため進学。
卒業後、高齢・障がい・児童の各分野で、
福祉の現場を経験してきた古川さん。
現場で培った“支える力”を礎に、
いまは人事として採用と育成に携わる。
学生や新入職員を母のような気持ちで見守りながら、
一人ひとりに寄り添い、未来の福祉を担う人財を育てる日々。
そんな古川さんが描く、ご自身の未来像とは。

祖父の介護が導いた、福祉の道への原点。

― 福祉の道に進もうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

きっかけは祖父の介護でした。福祉の方が支えている姿を間近で見て、「自分も誰かの力になりたい」と強く思ったのです。高校では福祉コースを選び、手話や点字、介護技術やヘルパー実習などの課程を修了し、旧ホームヘルパー2級の資格を取得しました。その後も迷わず福祉の道を志して進学し、医療・福祉について専門的に学びました。学生時代から「現場で人の役に立ちたい」という思いを持ち続け、それが今のキャリアの原点になっています。

現在はどのようなお仕事をされていますか。

主に新卒採用を中心とした人事業務を担当しています。合同企業説明会や法人説明会、採用試験などで多くの学生と出会い、福祉の仕事や愛宕福祉会の魅力をお伝えしています。また、広報活動にも力を入れており、Instagramではリール動画やストーリーをチームで制作しています。SNSを通じて「働く人のリアル」や「施設のあたたかい雰囲気」を伝え、学生により身近に感じてもらえるよう工夫しています。

新卒採用の説明会などで学生に伝えているメッセージはありますか。

「目先のことだけでなく、10年・20年先を見据えて職場を選んでください」とお伝えしています。愛宕福祉会の場合は、介護職を入り口として、相談員や管理者など、様々な役割へと活躍の場を広げていくことができます。また、法人全体で110以上の事業所があり、希望すれば他の分野への異動や職種転換の可能性もあります。資格取得の支援もあり、働きながら成長できる環境が整っています。

新卒採用の説明会を行う社会福祉法人 愛宕福祉会 法人本部事務局 人事部の古川 仁美氏
新卒採用の説明会の様子

異国の地で働く仲間を支える、温かなまなざし。

NSG AWARD※で優秀賞を受賞した「外国人介護士の受け入れ支援」について教えてください。

地域の介護をこれからも安定して支えていくため、愛宕福祉会では日本人職員とともに働く仲間として、海外出身の介護職員を受け入れています。現在、ミャンマー、インドネシア、ネパールなど各国から約50名の外国籍の職員が働いており、そのうち17名が特定技能1号として現場で力を発揮しています。年度内には新たに8名の入職を予定しています。
私は、特定技能ビザで初めて来日された方々の生活全般をサポートしています。住居の案内、行政手続きのサポート、勤務先でのフォロー、日本語学習のサポートなど、日々の生活に寄り添う幅広いサポートを行っています。外部の先生をお招きして日本語の授業を行い、現場で活かせる日本語を学んでもらっています。
受け入れを始めたのは2022年。私自身が本格的に担当するようになったのは2024年4月からです。初めての取り組みで大変なことも多かったですが、「目指せ介護福祉士資格取得50名!」を合言葉に、安心して長く働ける体制づくりを進めています。

※NSG AWARD…NSGグループ内で素晴らしい成果を収めた法人や、様々な取り組みを行った事業所・部門、個人・チームを表彰する制度。

国籍や文化の異なる職員と共に働くうえで、大切なことは何ですか。

何より「日本で安心して暮らしてもらうこと」です。住む地域の治安や病院、買い物の場所など、生活の基本情報を一緒に確認するところから始めます。宗教や文化の違いにも配慮しながら、日常生活を丁寧にサポートしています。皆さんはとても勉強熱心で前向き。その姿勢が印象的です。職場の方たちとも仲が良く、一緒にスノーボードに出かけることもあります。「ありがとう」の言葉を聞くたび、自分ももっと頑張ろうという気持ちになります。

支援する中で、印象に残っているエピソードはありますか。

母国を離れて働く皆さんは、遠く離れた家族を支えたいという思いで頑張っている方が多いです。最年少は18歳。家族のために介護福祉士の資格取得を目指し、日本語の勉強も欠かしません。そうした姿を見ると、本当に胸を打たれます。私は母でもあるので、「自分の子どもが異国の地で頑張っていたら…」と思うと、自然と母親のような気持ちで見守ってしまいます。「困ったらすぐ連絡してね」と声をかけています。

インタビューに応える社会福祉法人 愛宕福祉会 法人本部事務局 人事部の古川 仁美氏

現場で培った経験を生かし、人事への挑戦につなげる。

愛宕福祉会の魅力を、あらためて教えてください。

常に新しい取り組みに挑戦しているところです。AIや福祉機器の導入など、現場の負担を減らす工夫を積極的に行い、働く人の環境改善に力を入れています。また、部署全体で助け合いながら仕事を進める雰囲気があり、働きやすい職場だと感じています。当法人では、一部の施設で1日の勤務時間を長くする代わりに週休3日制を採用しています。業界でも多い年間休日169日を実現し、ワークライフバランスを大切にしています。一人ひとりの働き方を尊重し、誰もが長く安心して働ける職場づくりを進めています。

人事の仕事のやりがいや目標を教えてください。

まだ3年目なので、学ぶことばかりですが、本当に楽しいです。現場の魅力を次の世代へつなぐ役割を担っていることにやりがいを感じます。今は新卒採用業務を担当しており、特にSNS発信に挑戦中です。フォロワーを増やす工夫や、学生により届く発信方法をチームで話し合いながら取り組んでいます。「自分も人事の古川さんのように働きたい」と思ってもらえるような存在になりたいですね。

インタビューに応える社会福祉法人 愛宕福祉会 法人本部事務局 人事部の古川 仁美氏

感謝と挑戦を胸に歩み続ける、これからの未来。

育児との両立についてもお聞かせください。

私は「育児短時間勤務制度」を活用して、出退勤時間を調整しながら働いてきました。この制度は子どもの小学校入学前まで利用でき、保育園の送り迎えに柔軟に対応可能で、非常に助かっています。有休を取得しやすく、家庭を大切にしながら仕事にやりがいを感じて働ける環境があることは、何よりの励みです。

NSGグループで働く中で、印象に残っている特徴があれば教えてください。

一言でいえば、挑戦し続ける姿勢が体現されているグループです。新しいチャレンジやサステナブルな取り組みを積極的に進めており、グループ内での異動や転籍を可能とする制度もあって本当に心強いです。ライフステージが変わっても、自分らしく新しい環境で挑戦できるのは、私自身にとって大きな安心です。また、「NSG AWARD」で表彰された際には、他法人の方々からも「見たよ」「おめでとう」と声をかけていただきました。グループ全体で喜びを分かち合える文化こそが、NSGの魅力だと感じています。

最後に、これから挑戦したいことを教えてください。

まだ人事部で「頼られる存在」にはなりきれていないと感じるので、まずはそこを目指したいです。そして、愛宕福祉会がもっと多くの方に知られるように、新しい取り組みにもどんどんチャレンジしていきます。挑戦と感謝を忘れず、これからも前向きに頑張りたいですね。

紅葉の中ほほえむ社会福祉法人 愛宕福祉会 法人本部事務局 人事部の古川 仁美氏