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地方の新設大学のラグビー部が関東リーグ5部からの挑戦。 今シーズンは2部昇格にチャレンジ。
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創部5年目を迎える新潟食料農業大学男子ラグビー部は、創部1年目に関東大学ラグビーリーグ5部に参戦しました。その年の入れ替え戦はコロナ禍で開催されず、翌年の創部2年目より入れ替え戦を含む公式戦がスタート。そこから順調に3部まで勝ち上がり、昨年度は3部リーグで全勝優勝。公式戦22連勝で入れ替え戦に進出しましたが、惜敗しました。今シーズンも2部昇格を目指して、再チャレンジが始まりました。
そこで、新潟食料農業大学男子ラグビー部 監督の谷崎 重幸さんに、創部当時のエピソードや指導方針、選手の成長、今シーズンにかける思いなどを伺いました。
創部1年目の部員19名、関東大学ラグビーリーグ5部からのスタート。
— 新潟食料農業大学男子ラグビー部の監督に就任した経緯を聞かせてください。
谷崎 東福岡高校で30年以上ラグビー部の監督を務め、その後法政大学でも指導しましたが、一時的に現場から1年半ほど離れていました。その時に、新潟医療福祉大学スポーツ振興室の高橋孝輔さん(現 株式会社DEERS FOOTBALL CLUB代表取締役)から、新設する新潟食料農業大学でラグビー部を立ち上げ、監督に就任してほしいとの依頼を受けました。
— 新設大学のラグビー部の監督を引き受けた理由は何ですか。
谷崎 ゼロから部を立ち上げるチャレンジに非常に魅力を感じました。さらに、日本海側にはラグビーの強豪大学が少ないため、トライする価値があると考えました。その依頼が来たのは2019年の8月のことです。創部が翌年の春と聞き、急いでスカウト活動や準備を進めました。
— 創部1年目は何名の部員からスタートしたのですか。
谷崎 全国から16名の選手をスカウトして、一般入試でラグビー未経験の3名を加えて、計19名でスタートしました。ただし、経験者は全員フォワードでした。それでも、創部1年目に15名以上の選手が集まったことはうれしかったですね。さっそく関東大学ラグビーリーグの5部に登録しました。公式戦の最初の対戦相手は順天堂大学で、21対73の惨敗。マイナス52点からのスタートでした。
1期生が下級生を献身的に支え、チームの礎を築く。
― 創部当時は監督として苦労されたことが多かったのではないでしょうか。
谷崎 練習環境は十分とは言えませんでしたね。胎内市営グラウンドやNSGグループの開志国際高校のグラウンドを借りて練習していたので、時間が限られていました。限られた時間の中でいかに集中して練習に臨むかが大切でした。1年目は全員レギュラーのようなものなので、練習や試合を通してみるみるうちにレベルアップしましたね。振り返ってみると、確かに大変なことは多かったですが、そんな経験は滅多にできないので充実していました。
― 創部1期生とのエピソードで心に残っていることはありますか。
谷崎 1期生には「4年間、ラグビー以外の部分、すべてを引き受けてほしい」とお願いしました。次年度から下級生が入ってくるので、ラグビーや学校生活のサポートを頼んだのです。そして彼らはその役割を4年間続け、チームの礎を築いてくれました。そんなチーム作りを通して、彼らは立派な大人になり、この春卒業しました。
― 5部から始めて、順調に3部まで昇格できた要因は何だと思いますか。
谷崎 アスリートは勝利に強いこだわりを持ち、自分を超えるために努力を惜しまない。そのため、勝つための準備を完璧に整え、決して妥協しません。練習も当然、全身全霊をかけて一生懸命やる。そうやって創部1年目から本気で勝ちを目指してきました。
勝利を目指す上で、人間性を磨くことは欠かせない。
― 監督の指導のポリシーを教えてください。
谷崎 私は「木」のイメージで指導しています。幹は原理原則です。どれだけチームのために戦い、貢献できるか、そして最後にはノーサイドで相手をリスペクトするという信念は変わりません。幹がしっかりとしていないと、枝葉は繁りませんからね。その枝葉に当たる部分はチームですが、その年の学生の個性や特徴を活かし、伸ばしていきます。合わせて土の中に根を張ることも大切です。「心根」という言葉がありますが、精神的な成長がないチームは勝利を掴めません。それらを大切にしながら春夏秋冬のトレーニングに励み、部としての歴史・年輪を重ねています。
― 人間性はラグビーをやる上で大切なものなのでしょうか。
谷崎 先ほど「心根」という話をしましたが、ラグビーは選手一人ひとりの心がしっかりとしていないと成り立たないスポーツです。どれだけチームのために身体を張ってプレーができるかが問われます。勇気を持って相手に向かっていく味方をサポートできるか。このようにラグビーの戦術・戦略・スキルの前に、人間性を磨いていくことを大事にしています。
― 部員はラグビーを通して大切なものを学んでいますね。
谷崎 スポーツ全般に言えることですが、私はラグビーは「人類を導き、地球を救う」競技だと考えています。自分以外の人のために尽くせる人が、未来や社会を作り出していくのです。だから、チームのために何ができるかを考えて行動することの大切さを教えています。それは競技だけではなく、日常生活でも言えること。それは社会に出ても役立ちます。迷ったときに思い出してほしいですね。
昨年度の悔しい経験をエネルギーに変えて2部昇格を目指す。
― 昨年は2部昇格の入れ替え戦で悔しい思いをしましたが、そこから学んだことは。
谷崎 2020年に5部に参入し、4部、3部と昇格してきましたが、昨年12月に1期生たちは入学して初めての挫折を経験しました。それが国士舘大学との入れ替え戦でした。今年の4年生は先輩の雪辱を果たしたいと思い、これまで以上に練習に熱が入っています。その挫折が、その先のチャレンジへのエネルギーになっていると感じますね。
― 最近、選手が成長したなと実感することはありましたか。
谷崎 春先に昨年の大学チャンピオンの帝京大学と練習試合をして惨敗したのですが、1本トライを取りました。8月の夏合宿でも多くの強豪校と練習試合をしたのですが、途中でゲームを投げない、粘り強さが見られました。本当に底力がついてきたと思います。日頃から強豪校に胸を借りて練習試合をしますが、「学校の名前でラグビーをするな」と言ってきた成果でしょうか。そういう体験の積み重ねが自信になっていくものなのです。
― 9月15日から今シーズンが開幕しましたが、監督としての意気込みを聞かせてください。
谷崎 昨年は3部で優勝しましたが、相手校は私たちの分析や対策を進めているでしょう。そのため、昨年とはまったく異なる緊張感があります。油断せず、どう立ち向かうかが勝負の鍵です。そして、その先にある2部昇格を目指して、全部員一丸となってチャレンジします。ぜひ、応援してください。
新潟食料農業大学
日本および世界の食料産業には、生産、加工、流通、販売までの切れ目ないつながり「フードチェーン」全体を理解し、各段階の専門知識・技術を併せ持つ人材が必要不可欠です。そこで本学では「フードチェーン」を一体的に学ぶ共通課程とそれぞれの専門性を高めるコース課程(アグリ、フード、ビジネス)の2つの課程を連動させ、高度な専門知識・技術と「食」「農」「ビジネス」に関する総合知識・技術を兼ね備えた食料産業界の“ジェネラリスト”を育成しています。
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監督 谷崎 重幸
東福岡高校ラグビー部監督として、花園大会優勝4回。2009~2011年は選抜、国体、花園の全国3冠3連覇、公式戦113連勝。2013~2016年度に法政大学ラグビー部監督を務める。2020年~新潟食料農業大学 ラグビー部監督を務める。
・2014年度 文部科学大臣優秀教員表彰
・ニュージーランドラグビーコーチングレベル1,2
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