食材受発注の課題をデジタル化で解決。 今後はデータを活用して新たな価値の創造に挑戦。

2024.05.10 Fri

株式会社日本フードリンクは学校や病院・福祉施設などで給食の調理・食事の提供サービスを行っていますが、紙ベースで行う日々の受発注業務に労力がかかっていました。その解決のためにデジタルシステムを導入。受発注業務をアナログから一新し、業務効率化を果たしました。

具体的にどのような課題が受発注にあったのか、システムを導入して現場の作業がどのように改善されたのか、また今後のDX推進計画などについて、管理本部総務部 DX担当の近藤勇希さんにお話を伺いました。

受発注作業の効率化やミスの軽減を解決する必要性を実感。

ー DXの推進担当としてどのようなことに取り組んだのですか。

近藤 まずは会社の業務を整理し、改善の余地を探りました。すると、受発注や勤怠管理など、まだまだアナログな作業が目立つことがわかりました。アナログ自体が悪いわけではありませんが、勤怠管理では集計が集中すると残業が増えるという課題がありました。そこで、まず勤怠管理をデジタル化し、次に受発注業務のデジタル化に取り組みました。このプロジェクトは、当社の本格的なDX推進の第一歩となりました。

 

ー 受発注業務には具体的にどのような課題があったのですか。

近藤 通常、当社の管理栄養士が給食の献立を作り、必要な食材をグループ会社の株式会社ライフプロモートに発注しています。以前は、発注書をFAXで送る方法が採られており、大量の紙のやりとりが行われていました。1日平均して300件ほどの発注書がライフプロモートに送られているのですが、ゴールデンウィーク前やお盆の前など世の中が連続休暇の前には、注文書の数も増加し、それに伴い残業時間も増加していました。また、注文書を手作業で販売管理システムに入力するため、入力ミスが発生して配送が滞ったりすることもありました。これは受注する側の大きな課題でした。

以前の受注業務

 

ー 発注する側にはどのような課題がありましたか。

近藤 はい。これまでは管理栄養士が作成した献立に基づいて、給食室のスタッフが必要な食材を調べ、発注書を作成していたのですが、その作業に多くの時間を費やしていました。また、発注担当者はよく使う食材を把握していますが、その情報が他のスタッフに共有されておらず、担当者以外が発注書を作成することが難しい状況になっていました。食材を調べる手間の削減や発注担当が不在の場合でもスムーズに発注を行うためにも、新しいシステムが必要でした。

 

ー 新しいシステムでどのように効率化されましたか。

近藤 今回導入したシステムでは、FAXでのやりとりが不要となり、発注担当者はタブレットに登録された献立に必要な食材リストに数量を入力するだけで発注可能です。ライフプロモート側ではシステムへの入力が自動化されるため、人為的なミスがなくなります。このシステムの導入により、受注業務が効率化され、400時間以上の残業時間の削減が実現できました。その結果、13名で行っていた業務を2名で行えるようになりました。従来は発注施設の増加に伴い受注担当が必要とされていましたが、少ない人員でも作業が可能になりました。

新システムの導入に、チャレンジする社風が後押し。

ー 計画から導入までどのようなスケジュールで進めたのですか。

近藤 2022年の7月から検討を開始し、10月から新しい受発注システム(CO-NECT)を始動しました。発注側は、それぞれの給食室でうまく発注作業ができるようにサポートしつつ、8か月ほどかけて徐々に拡大し、現在では約9割の給食室がこのシステムを利用できる状態になりました。

 

ー 今回の導入に関して会社の理解・協力はいかがでしたか。

近藤 当社の社長は以前、DXの推進を担当していたので、積極的に後押しをしてくれました。それ以前に、DXに限らず「チャレンジを応援する社風」が当社には根付いています。今回の取り組みについても、提案を受け止め、様々なアドバイスをいただき、成果を見守ってくれました。私自身も担当者として、そして一社員として、この社風は素晴らしいと思います。

省力化を図り、おいしい給食づくりに注力できる環境に。

ー 導入の際、現場スタッフへの対応で、いちばん気にかけた点はどこですか。

近藤 導入にあたって私が大事にしたのが、実際に使用する給食室のスタッフに、「なぜこのシステムを利用する必要があるのか」を納得してもらうことです。そのために各施設を回り対面で説明し、合わせて使用方法を丁寧にレクチャー。その甲斐あってか、想像以上にスムーズに導入できたと思います。それは受注システムを導入したライフプロモートも含めてのこと。今後も新しいシステムを導入することはあると思いますが、決定した結果を押し付けるのではなく、“導入する意味”をしっかり共有したいですね。

 

ー 実際に利用した給食室のスタッフからはどのような声が上がっていますか。

近藤 導入当初は今までの紙とは違う発注方法に戸惑う方もいました。しかし徐々に慣れていくうちに、「献立に必要な食材を事前に登録してあるので、作業の手間が少なくなった」、「画像付きだから分かりやすい」、「キャンセルや数量変更もタブレットでできるので便利」というように使い勝手が良く好評です。

 

ー 導入後は課題を解決できたようですね。

近藤 はい。新しいシステムでは献立を作成した段階で必要な食材を登録できるので、発注担当者は在庫を確認しながら必要数を入力するだけです。商品画像も登録できるため、ひと目で商品を認識でき、発注スピードが格段に速くなります。現場スタッフは発注作業の負担が軽減され、いちばん大切な“おいしい給食づくり”により注力できるような環境にしていきたいですね。

受発注から納品・検品まで、全業務フローのデジタル化を目指す。

ー 今回の導入したシステム以外に、受発注で改善したい点はありますか。

近藤 今後取り組みたいのは、食材検品のシステム化です。これまでは納品された食材の賞味期限や状態をチェックし、紙に記載後保管をしていましたが、これをタブレットでチェック・クラウド上に保管できるように変更しました。まずは給食の現場でトライアルとして導入し、今後は全社的に展開していく予定です。最終的には、フードリンクとライフプロモートの受発注から納品・検品までの情報の流れをすべてデジタル化するシステムを構築したいと考えています。

 

ー 今後、「こんなことをDX化したい」、というイメージやアイデアはありますか。

近藤 当社は20年以上にわたり、お客様のご要望に合わせた給食を提供してきました。この間に蓄積されたノウハウやデータを活かし、最新のテクノロジーを導入して、例えば「AIによる献立作成」などの新しい試みに挑戦したいと考えています。DXには、新たな価値やサービスを生み出す可能性があります。まだアイデアの段階ですが、どのような相乗効果が生まれるか楽しみにしています。

 

ー DX担当として会社の発展・成長に、どのように貢献したいと考えていますか。

近藤 第1ステップは、業務のデジタル化です。第2ステップはデジタルに移行したことで、今まで見えなかったデータが可視化され、それらを分析すること。最終的な第3ステップは、それらのデータを利活用して、新規事業を立ち上げることです。まず守りのDXからはじめて、最終的には“新たな価値を生み出す”攻めのDXにつなげたいと思っています。合わせてITやDXを駆使して、お客さまをさまざまな角度からサポートしたいですね。

株式会社日本フードリンク
新潟県新潟市東区津島屋6丁目99番地1
TEL:025-282-7023 / FAX:025-282-7024

http://www.j-foodrink.co.jp

「食を介し、健康を創る。」の理念のもと、医療・福祉施設や学校における給食の調理・食事の提供サービスを行っています。私たちが目指すのは、健康な身体づくり、福祉の充実、食文化への理解、そしてお客様の満足です。「おいしい食事」には、安全・安心や味の良さはもとより“スタッフの笑顔”も大切だと考え、コミュニケーションを大切にしながら、真心を込めて調理・提供を行っています。

 

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