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- 食

その後、管理栄養士の資格を取得して介護施設の栄養士へ転身。
食を通して社会課題を解決するためにキャリアチェンジを決意。
ライフプロモートに入社して、高齢者施設向け食材キットの開発に取り組む。
試行錯誤を繰り返し、売り上げは急速に拡大。
入社8年目に営業部長に就任し、マネジメントにも励む。
2025年に営業本部長に昇進して新たな挑戦をスタートさせる。
そんな原口さんが切り拓く、食の新世界とは。
給食食材の卸売業の管理職として活躍中。
お仕事について教えてください。
現在、株式会社ライフプロモートの営業本部長として業務に携わっています。
当社は、給食用の食材に特化した卸売事業者です。NSGグループ内の学校や寮、病院、福祉施設など、食事の提供が欠かせない施設の食材を供給しています。また、NSGグループ以外の法人様とのお取引獲得に注力しており、売上比率は40%前後にまでなりました。その外部売上をさらに伸ばしていくのが、営業本部の役割です。
独自の食材サービスや自社ブランドの商品の開発・販売も手掛けられているそうですね。
当社では小規模施設向けの献立付き食材キットサービス「楽膳(らくぜん)」や、減塩調味料などの自社ブランド商品の開発・販売も行っています。特に楽膳は、施設職員や厨房スタッフの負担軽減と、利用者の満足度向上を目的としたサービスで人気です。加えて、私たちのサービスは単なる食品提供にとどまらず、施設ごとのニーズに応じた細やかなサポートを行い、各施設が抱える運営上の課題に対応できるよう工夫しています。
社会課題の解決に貢献するため、キャリアチェンジを決意。
社会人になられてからのキャリアを教えてください。
私は以前、特別養護老人ホームで管理栄養士として勤務し、嚥下困難や認知症を抱える方々の栄養管理を担当していました。施設では、食事が生活の彩りや楽しみの一つとなるよう工夫を。この経験を通じて、「食の力」に対する強い思いを抱くようになりました。食べることは、単に栄養摂取ではなく、日々の生活の中で喜びや楽しみを感じる大切な瞬間です。そのため、食事を工夫することで、ご利用者の生活の質を向上させることができると考えていました。
その後、ライフプロモートに入社されるまでの経緯は。
20代前半で出産し、子育てをしながらも、働き続ける道を考えました。そして、特別養護老人ホームでの施設勤務の中で、慢性的な人手不足や食材費の高騰といった業界全体の課題を感じるようになり、より広い視点で社会貢献ができる仕事を求めるようになりました。特に給食業界の課題は、一施設単体の問題ではなく、社会全体として解決すべきテーマだと考えました。
社会課題の解決に貢献したいという思いでキャリアチェンジされたのですね。
そうです。ちょうどその頃、ライフプロモートで施設向け食材キットサービスの献立を担当する栄養士の募集があり、これまでの経験を活かして社会貢献ができると考えて転職を決意しました。加えてライフプロモートの事業は、食材の調達から配送、提供方法までトータルで考えて最適化するというアプローチを取っており、その点にも強く惹かれました。
開発を担当した食材の売り上げは約9倍に拡大。
入社されて食材キットサービス「楽膳」をどのように改善されたのですか。
入社当初は、「楽膳」の献立作成を担当していました。単に献立を考えるだけでなく、「どのようにすれば多くの施設にご利用いただけるのか」といった仕組み作りにも注力しました。施設利用者の満足度向上はもちろん、施設職員の負担軽減や運営の効率化、施設が慎重になる運営課題の解決にもつながるよう、新たな視点でサービスの開発に取り組みました。入社から8年で売り上げは約6倍に成長し、現在では9倍に。私自身、管理栄養士のスキルや経験を活かしながら、企画開発という新たな分野でのキャリアを積むことができました。
具体的にはどのような課題があったのですか。
当社の栄養士2人で施設ごとに個別の献立を作成していましたが、業務負担が大きく、効率的な運営が課題となっていました。そこで、献立作成をしやすくするためにメニューの標準化を進め、より多くの施設で活用できる形へと改善したんです。また、卸売業の強みを生かして食材のキット化を推進し、調理の負担軽減と業務の効率化を実現しました。その後、人手不足が加速し、温めるだけで提供できる調理済み食品のニーズも拡大しました。これに伴い、売上も大幅に増加しましたが、メニューやシステムの改善により、売上増加前と同じ栄養士2名体制で対応できています。
同業者で同じような開発をしているところはなかったのでしょうか。
大手メーカーにも同種の食材はありますが、高齢者向けではなかったんですよね。「硬かったり、味が濃かったり、食べにくいものが多かった」というお客さまの声を受けて、具体的な食材の開発に取り組みました。そして、高齢者向けの柔らかく食べやすい冷凍惣菜を開発し、新潟県をはじめ全国の提携工場と協力しながら商品数を拡大。私が入社した当初は30アイテムほどでしたが、少しずつ新商品を増やして今では250アイテムにまで広がりました。
開発で一番苦労した食材は何ですか。
特に天ぷらの開発には力を入れました。天ぷらは高齢者にとって人気のある料理ですが、施設で揚げるとなると手間がかかることが課題でした。そこで、食感が柔らかく、衣がはがれにくい天ぷらを実現するために、展示会で知り合った協力会社様と試行錯誤を重ねようやく販売。さらに、温めるだけで適度なサクサク感が残る加工方法を取り入れ、多くの施設で採用される人気商品となりました。
営業本部長として、ゼネラリストとしての成長を目指す。
現在は管理職として活躍されていますが、キャリアについての考えをお聞かせください。
入社8年目に営業部長に就任し、営業課・開発課・特販課という3つの部門のマネジメントを担当しています。開発から営業への転換は大きな挑戦でしたが、上司やチームメンバーに支えられ、商売の仕組みや必要なスキルセットを習得。施設の栄養士として「買う立場」から「作る立場」へ、そして今は「売る立場」へと変遷する中で、それぞれの経験を掛け合わせて課題解決に取り組んでいます。
現在は営業本部長という役職に昇進されましたね。
2024年7月に営業本部長に就任し、よりゼネラリストとしての成長を求められる立場になりました。営業や開発にとどまらず、会社の経営に直結する組織作りにも貢献できたら。そのためにも、現在、NSGグループの次世代経営人材育成制度に参加し、異業種の幹部候補のみなさんとの交流を通じてマネジメントに必要な視点を養っています。また、2025年の春に新社屋に移転しますが、売り上げの拡大とともに販売管理費を削減する、DXの導入にも積極的に取り組んでいきます。
今後、チャレンジしたいことはありますか。
今後は、ライフプロモートならではの提案力をさらに磨き、より質の高い食事環境を提供し、社会課題の解決に貢献したいと考えています。また、高齢者が安心して食べられる食品の開発を推進し、さらなる商品ラインナップの拡充に挑戦します。特に、各地域の郷土料理を取り入れたメニュー開発を進め、全国の施設で地域の味を楽しめるような仕組みを構築したいと思っています。そのためにも、私自身がこれまで経験してきた「買う」「作る」「売る」という立場の変遷を活かし、より多くの人々の役に立つサービスを提供できるよう、今後も努力を続けていきます。
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